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ワシントン条約決議


決議14.3 * CITES遵守手続き

*第15回締約国会議の後に事務局により訂正。

決定12.84で締約国会議が事務局に対し、条約施行への遵守に関するガイドライン一式を起草し、常設委員会で審議にかけるよう命じたことを想起し、

常設委員会が第50回会合(ジュネーブ、2004年3月)で、そのようなガイドライン起草のために期限を定めない作業部会の設置を決定したことをさらに想起し、

条約締約国会議は

この決議に添付する「CITES遵守手続きガイド」に留意し、かつ

遵守に関する問題を扱うときは、そのガイドを参考にするよう勧告する。

付記 CITES遵守手続きガイド

目的と範囲

1.このガイドの目的は、締約国その他に対し、条約に基づく義務への遵守の推進、促進、達成、そして特に、締約国がそのような遵守に関する義務を達成するための支援に関するCITESの手続きを通知することである。

具体的には、このガイドでは、特定と全般両方の遵守問題において、関連する決議並びに決定を考慮に入れ、条約に基づく義務に関係する遵守問題の首尾一貫した効果的な対処を促進するために、既存の手続きについて説明する。

このガイドには法的拘束力はない。

2.このガイドでは、関連する決議並びに決定を考慮に入れ、条約に基づく義務に関係する遵守問題を取り扱う。特に以下の点に重点を置く。

a)管理当局(ひとつ以上)と科学当局(ひとつ以上)を指定すること(第9条)

b)条約で規定する手続きと一致する範囲内でのみCITES掲載標本の取引を許可すること(第3、4、5、6、7、15条)

c)条約の規定を執行し、それに違反する取引を禁じるために適切な国内措置を講じること(第8条1項)

d)取引の記録をつけ、定期報告書を提出すること(第8条7項、8項)

e)附属書IまたはIIに掲げる種が、その種の標本の取引により悪影響を受けているという情報、または条約の規定が効果的に施行されていないという情報に関する事務局の伝達に対し、可能な限り速やかに対応すること(第13条)

3.このガイドで説明する手続きは、いかなる権利および義務、条約下の紛争解決手続きも侵害しない。

一般原則

4.長期的遵守の保証を目的として、遵守問題に対して支援的で非敵対的な取り組みを行う。

5.遵守問題は可能な限り迅速に処理する。そのような問題は審議され、その後の遵守手段は公正で首尾一貫した透明な方法で適用される。

6.一般に、遵守問題に関する知見、報告、伝達は機密扱いにならない。

 ただし、特定遵守問題に関する事務局と個々の締約国との間の伝達は、一般に機密扱いとされる。

7.遵守問題に関する議論を非公開にするか公開のまま維持するかという決定は、その件を審議する組織の手続き規則に従い下され、通常は決定の根拠が示される。

8.事務局は遵守関連の決定を関連当局に伝達する。

各種組織とその遵守関連業務

9.遵守問題は以下のCITES組織が処理する。それらの主な遵守関連業務を以下に掲げる。

10.締約国会議

a)遵守問題に関する総合的な方針ガイダンスを提供する。

b)特に、重要な義務と手続きの特定を通じ、遵守問題の処理を指示し、監督する。

c)必要に応じ、特定の遵守問題に関係する常設委員会の決定を再検討する。かつ

d)条約に従い、一定の権限を常設委員会または他のCITES組織に委任することができる。

11.常設委員会に委任した業務を締約国会議がそれ自体で遂行することを決定したときは、常設委員会について以下に説明するものと同じ手続きに従う。

12.常設委員会は、締約国会議からの指示および締約国会議により委任された権限に従い役目を果たし、以下を含む一般並びに特定の遵守問題を処理する。

a)条約の下での義務への全体的遵守の監視と査定

b)条約の下での義務への遵守に関する締約国への助言と支援

c)情報の確認

d)以下に説明する遵守対策の実施

13.動物委員会並びに植物委員会は、締約国会議からの指示および締約国会議により委任された権限に従い役目を果たし、遵守問題に関して常設委員会並びに締約国会議に助言と援助を提供し、中でも特に、必要な検討、相談、査定、報告を引き受ける。これらの委員会は、「著しい取引の再検討」に関係する問題の処理において一定の任務を与えられている。

14.事務局

a)このガイドで説明する遵守問題に関し、また、適用可能であれば、関連する決議並びに決定で定められた手続きに従い、動物委員会、植物委員会、常設委員会、締約国会議が機能を遂行する中で、それらに援助と支援を提供する。

b)遵守問題に関する情報を受理し、査定し、締約国に伝達する。

c)条約に基づく義務への遵守のために、締約国に助言と援助を与える。

d)遵守達成のための勧告を行う。かつ

e)遵守に関係する決定の施行を監視する。

特定遵守問題の処理

A.潜在的遵守問題の特定

15.例えば「著しい取引の再検討」あるいは「国内法制定プロジェクト」の中で、情報の要求に応じた他の特別な報告書並びに回答と同様、年次並びに隔年報告書、法的文書は、条約に基づく義務への遵守を監視するための主な手段であるが唯一の手段ではない。

16.事務局は当該締約国に、その締約国の遵守に関して事務局が受理した情報を提供し、この件に関して締約国と連絡を取る。

17.それに応じ、締約国は可能な限り速やかに、法律が許す限りの関連事実を事務局に通報し、また、適宜、是正策を提案する。調査が望ましいと締約国が考える場合、その調査は締約国が明示的に権限を与えたひとり以上の者により実施することができる。

18.ある締約国が、別の締約国によるCITES掲載種標本の取引に関する問題を懸念した場合、締約国はその件を当該締約国に直接提示し、かつ事務局に支援を求めるか、またはそのいずれかを行うことができる。

19.締約国がみずから、一定の期日までに情報を提供できないことを含め、遵守問題に関する早期警告を事務局に与え、その理由と支援の必要性を示すことが奨励される。

20.遵守問題が特定された場合は、当該締約国は妥当な制限時間内にそれらを是正するためのあらゆる機会を与えられ、必要であれば、事務局の支援を受けることができる。

B.遵守問題の審議

21.締約国が妥当な制限時間内に十分な是正策を講じることを怠った場合、当該締約国と直接連絡を取ってきた事務局は、その遵守問題を常設委員会に伝える。

22.手続き規則に従い、遵守問題が別の方法で常設委員会に伝えられた場合、常設委員会は以下のことを行う。

a)上記16-20項の手続きに従う対策を講じるために、その問題を事務局に委託する。

b)瑣末または根拠薄弱として、それを却下する。

c)例外的な状況では、当該締約国と協議した後、以下に説明する手続きに従う。

23.遵守問題が常設委員会に伝えられる場合、それは通常書面で行ない、どの特定の義務が関係するかという詳細と、当該締約国が義務を果たせない理由の査定を記す。

24. 遵守問題が常設委員会に伝えられる場合、事務局は直ちに締約国または当該締約国に通報する。

25.常設委員会は瑣末または根拠薄弱とみなした遵守問題を却下する。

 常設委員会が、その提出を瑣末でも根拠薄弱でもないと決定した場合は、当該締約国は妥当な制限時間内に意見をする機会を与えられる。

26.常設委員会は、ある遵守問題についてさらなる情報をみつける可能性があるときに、そのような情報を収集または要求するか否かを決定し、また、当該締約国の領土内またはそのような情報がみつかる可能性がある場所で情報の収集と確認を行うために、その締約国からの招請を要求するか否かを決定する。

27.当該締約国は関連組織の手続き規則に従い、自国の遵守に関する討議に参加する権利を持つ。

28.締約国は、自国の遵守について審議されるCITES会議への参加に必要な財源を入手できない場合、財源をみつけるために事務局または常設委員会の援助を要請することができる。

C.遵守達成手段

29.遵守問題が解決していない場合、常設委員会は以下のひとつ以上の措置を講じることを決定する。

a)当該締約国に対し、助言、情報、および支援やその他の実施能力強化の支援に対する適切な促進策を提供する。

b)当該締約国に対して特別報告書を要求する。

c)対応を要求し支援を申し出る内容を記した書面による警告を発する。

d)当該締約国が引き受けるべき特定の実施能力強化活動を勧告する。

e)当該締約国の招請により、その国内での支援、技術査定、検証団を提供する。

f)事務局を通じて全締約国に対し、遵守問題に関する公示を送達し、締約国にその遵守問題を伝えたが、その時点までに満足できる対応または行動がないことを忠告する。

g)当該締約国に対し、例えば年次報告書かつ/また国内法制定プロジェクトなどの関係で、非遵守状態であるとする警告を発する。

h)当該締約国に対し、常設委員会に遵守対策計画を提出し、その中で、適切な段階、それらの段階を完了する日程、満足できる完了状態を査定する手段を特定するよう要求する。

30.場合によっては、常設委員会が条約に従い、ひとつ以上のCITES掲載種の標本の商取引またはすべての取引の一時停止を勧告することを決定する。締約国の遵守問題が未解決なまま残っており、その締約国が遵守達成の意志を示さない場合、あるいは締約国ではない国が条約第10条に言及された書類を発給していない場合に、そのような勧告が行われることがある。そのような勧告は常に、具体的かつ明示的に、条約および締約国会議の適用可能な決議並びに決定1に基づくものとする。

31.上記の措置の一覧は、これまで適用された措置の完全な一覧とは限らない。

32.上記のひとつ以上の措置について常設委員会が決定を下す時、以下の点を考慮に入れる。

a)発展途上国をはじめとする当該締約国の実施能力。特に、後発発展途上国並びに小島嶼発展途上国および経済移行期にある締約国。

b)遵守問題の原因、タイプ、程度、頻度などの要因。

c)遵守問題の重要度の度合いから見た、その措置の適切性。かつ

d)悪い結果を回避するという観点から、保護と持続的利用に対して生じうる影響。

これらの考慮事項は常設委員会の勧告中に明記される。

D.遵守達成のための措置の監視と施行

33.常設委員会は事務局の助けを借り、当該締約国が措置を施行するために取る行動を監視する。これに関し、常設委員会は中でも特に以下のことを行う。

a)当該締約国に対し、日程に従い中間報告書を提出するよう要求する。かつ

b)当該締約国の招請により、国内技術査定と検証団の手配をする。

進行状況に照らし、常設委員会は、すでに講じた措置を調整するか、または他の措置を講じるかを決定する。

34.取引を一時停止するための既存の勧告は、通常、常設委員会の各会合で再検討される。また、会合と会合の間の期間は事務局が監視する。遵守問題が解決するか、または十分な進歩があり次第、取引を一時停止するための勧告を取り消す。事務局は締約国に対し、可能な限り速やかに、取り消しについて通知する。

35.例えば附属書II掲載種の標本の著しい取引の場合など、特定の種類の遵守問題に関しては、関連する決議並びに決定に明記されたより正確な規定で、上記33並びに34項の一般指針を補足する場合がある。

報告と再検討

36.常設委員会は遵守問題に関して締約国会議に報告する。事務局は遵守問題に関して常設委員会並びに締約国会議に報告する。

37.締約国会議はこの文書を定期的に再検討し、適宜それを改訂することができる。

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1 現在、以下のような例がある。
 -決議 11.17(CoP14で改正)(国の報告書)
 -決議 8.4(CoP15で改正)(条約施行のための国内法)
 -決定14.29(条約施行のための国内法)
 -決議 12.8(CoP13で改正)(附属書II掲載種の標本の著しい取引の再検討)
 -条約第13条並びに決議 11.3(CoP15で改正)(遵守および執行)
 -決議 11.1(CoP15で改正)(委員会の設置)

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