ホームワシントン条約についてワシントン条約決議>決議13.2「生物多様性の持続可能な利用:アディスアベバ原則並びにガイドライン」

ワシントン条約について

ワシントン条約決議


決議13.2 * 生物多様性の持続可能な利用:アディスアベバ原則並びにガイドライン

*第14回締約国会議で改正。

第7回生物多様性条約会議(CBD COP7)の決定VII.12において「生物多様性の持続可能な利用に関するアディスアベバ原則並びにガイドライン」(要旨は付記1に)が採択されたことを歓迎し、
これらの原則並びにガイドラインはCITESの締約国によって条約の第4条その他の関連条項の実施に利用できることに留意し、

CBDおよびその科学技術助言補助機関(SBSTTA)がこれら持続可能な利用に関する原則並びにガイドラインをテストするための事例と取り組むことを認識し、

CBDが第2条で「持続可能な利用」という用語を「生物の多様性の長期的な衰退をもたらさない方法および速度で生物の多様性の構成要素を利用し、それによって、現在および将来の世代の要求および願望を満たすように生物の多様性の可能性を維持することをいう」と定義していることをさらに認識し、

第14回締約国会議の時点でCITES締約国の大多数がCBD締約国であることにさらに留意し、

CBDの戦略計画:今後の進歩に関する評価の目標4.3(Decision VII.30, Annex 2, Goal 4)に「野生動植物の種に対して国際取引による絶滅のおそれが生じないこと」と明記され、したがってCITES戦略計画と完全に一致することをさらに歓迎し、

決議10.4(Cop14で改正)並びにCITESとCBDの間で交わされた協力覚書を想起し、

条約締約国会議は

締約国に対して次のとおりに求める。

a) 悪影響を及ぼさないプロセスを採用し、かつ有害でないというCITESの判定を行う場合、「生物多様性の持続可能な利用に関する原則とガイドライン」を利用すること。また、その際に国内状況によって決まる、科学、取引、施行上の検討材料と動物委員会および植物委員会の勧告(付記2)も考慮に入れること。

b) 特にCITES管理当局並びに科学当局とそれらのCBDフォーカルポイント(各国の総合窓口)との間などで国内レベルでの持続可能な利用に関する経験を共有すること。かつ、

c) CITES管理当局と科学当局が国内CBDフォーカルポイントを通じ、これらの原則とガイドラインに関するCBD並びにその科学技術助言補助機関(SBSTTA)の作業に参加することを保証するよう試みること。

CBDの締約国でもある締約国に対し、国内レベルでのCITESとCBDの実施の間に相乗効果を保証するための政策並びに制度レベルでの効果的措置を講じるよう求める。

付記1 生物多様性の持続可能な利用アディスアベバ原則並びにガイドライン

要旨

「生物多様性の持続可能な利用に関するアディスアベバ原則並びガイドライン」は相互に依存する14項目の行動原則、運用ガイドライン、それらを実施するための2~3の法律文書で構成され、そのような利用の持続可能性を保証するために、生物多様性の構成要素の利用を統治する。同原則は生物多様性構成要素の利用が生物多様性の長期的衰退を引き起こさないよう保証する方法に関し、政府、資源の管理者、先住民並びに地元の共同体、民間部門、その他の利害関係者を補助するための枠組みを提供する。原則は全般的に関連性を持つよう意図しているが、すべての原則がすべての状況に同等に適用されるわけではなく、また、同等の厳格さで適用されるわけでもない。それらの適用は利用される生物多様性、それらが利用される条件、利用が起きる制度的並びに文化的背景に従い変化する。

次の行動原則および関連する運用ガイドラインが適用されるならば生物多様性構成要素の利用の持続可能性は強化される。

行動原則1 支援政策、法律、制度が統治のあらゆるレベルで整備され、それらの各段階で効果的な連係が存在すること。

行動原則2 国際/国内法と整合した統治の枠組みの必要性を認識し、生物多様性構成要素の地元利用者は、当該資源の利用に対して責任を持つという権利を得ることによって、十分な力を与えられ、支援されなければならない。

行動原則3 生息地の衰退を助長するよう市場をゆがめる国際並びに国内政策、法律、規則や、あるいは生物多様性の保全と持続可能な利用を損なうような誘因を特定し、除去または緩和すること。

行動原則4 次の項目に基づく適切な管理を実践すること。

a)科学と伝統的並びに地元の知識。

b)利用、環境並びに社会経済的影響、使われる資源の状態を監視することによって導かれる、くり返し、かつ時宜にかなった透明性のあるフィードバック。かつ、

c)監視手続によって得られる時宜にかなったフィードバックに基づいて、調整された管理。

行動原則5 持続可能な利用管理の目標と実践では、生態系のしくみ、構造、機能およびその他の生態系の構成要素に対する悪影響を回避するか、または最低限に抑えること。

行動原則6 生物多様性の利用と保全のすべての側面についての学際的研究を促進し、支援すること。

行動原則7 管理の空間的並びに時間的規模は、利用とその影響の生態的並びに社会経済的規模と両立すること。

行動原則8 多国間の意思決定と協調が必要な場合の国際協力の取り決めが存在すること。

行動原則9 利用に関係する管理と統括の適切なレベルに総合的かつ参加型の手法を適用すること。

行動原則10 国際並びに国内政策では次の項目を考慮に入れること。

a)生物多様性の利用から派生する現在および、潜在的な価値

b)生物多様性の持つ内在的その他の非経済的価値

c)価値と利用に影響を与える市場の力

行動原則11 生物多様性構成要素の利用者は、廃棄物と環境への悪影響を最低限に抑え、利用による便益を最大限活用するよう追求すること。

行動原則12 生物多様性の利用並びに保全と共に暮らし、それによって影響を受ける先住民並びに地元の共同体が必要としていることは、生物多様性の保全と持続可能な利用に対する彼らの寄与と合わせ、それら資源の利用によって生じる便益を公平に分配することである。

行動原則13 生物多様性の管理と保全の費用は管理地域内で内部化し、利用によって生じる便益の配分に反映させること。

行動原則14 保全と持続可能な利用に関する教育並びに啓発計画を実施し、利害関係者と管理者の間およびそれらの内部で、より効果的な伝達方法を開発すること。


付記2 「生物多様性の持続可能な利用に関するアディスアベバ原則並びにガイドライン」に関する動物並びに植物委員会の勧告

1. CBDは国内施行を通じて幅広い生物多様性の問題と取り組む方法に関する全般的ガイドラインを締約国に提供するのに対し、CITESは規制という性質を持ち、種別に定められ、野生生物の国際取引に焦点を合わせている。

2. CITESでは「持続可能な利用」を定義していないが、ケーススタディーから明らかなように、「生物多様性の持続可能な利用に関するアディスアベバ原則並びにガイドライン」の中でCITESに全般的に関連する要素は、CITESの文言中にすでに潜在するか、もしくはCITESにより促進される。これは例えば実際的な原則1、2、4、7、9、12を指し、それらの要素は、附属書IIの輸出について有害でないと判定を支援するためのチェックリストに取り入れられている。

3. 第16回植物委員会と第22回動物委員会の共同会議(リマ、2006年7月)で発表されたケーススタディーから、CITESの意思決定プロセス、特に、有害でないという判定(NDF)に関し、アディスアベバ原則並びにガイドラインが常に即座に適用できるとは限らないことは明らかである。

4. アディスアベバ原則並びにガイドラインは、ケースバイケースを基本として、CITESの作業に関係しており(第3項で言及された原則に加え、例えば原則5、6、8、11など)、さらなる分類群別NDFガイドラインを策定する場合に考慮される可能性があることが認識されている。

5. 動物並びに植物委員会は、決議10.4(CoP14で改正)を改正し、NDFを行うために使用可能な自主的な補助手段としての「生物多様性の持続可能な利用に関するアディスアベバ原則並びにガイドライン」の使用を認めることを提案する。

6. さらに、この件に関していまだに科学委員会により必要とされる作業に関し、また、有害でないという判定にアディスアベバ原則並びにガイドラインの社会経済的側面を使うことにより生じる可能性のある複雑な状況に関して疑問が提起された。

7. アディスアベバ原則並びにガイドラインは、有害でないという判定を行うための既存のIUCNガイドラインをサポートすることができ、この点に関し、例えば樹木種などの場合に、分類群別ガイドラインを策定するために役立つという点が、さらに指摘された。

8. 最後に、アディスアベバ原則並びにガイドラインは、多年の間に策定されてきたものであり、広い国際的支持を得ており、地球規模の重要性を持つが、原則全部がCITESと関連性を持つわけではないことが認識された。

ワシントン決議一覧へ戻る


もどる
pagetop