ホームワシントン条約についてワシントン条約決議>決議 11.11「植物の取引の規制」

ワシントン条約について

ワシントン条約決議


決議 11.11 * 植物の取引の規制

* 第13回、第14回および第15回締約国会議で改正。

第9回締約国会議(フォートローダーデール、1994年)で採択され、第10回会議(ハラレ、1997年)で改正された植物に関するCITESの施行に関する決議9.18(改正)を想起し、

特定の野生植物種を国際取引による過剰な捕獲から保護するための国際協力の手段を条約が提供していることを意識し、

条約並びにいくつかの締約国会議決議の植物に関する文章は植物の栽培における最新の発展および人工繁殖された植物の取引に照らして起草されない場合があるか、または起草され得なかったことを意識し、

植物に関して条約を実施するにあたり条約締約国がこれまで直面し、いまだに直面している多数の特定問題を想起し、

ランのフラスコ入り実生に関する性質など、植物の取引および植物の生物学的性質には動物と同類とみなすことができないユニークな側面があり、時に植物には異なる取り組みが必要であることを認識し、

閉じた苗床に由来するランのフラスコ入り実生の取引の規制は、一般にラン種の自然個体群の保護に関係があるとみなされないことを認識し、

条約に基づく植物の国際取引の規制に伴う問題の多くに人工繁殖標本が関与することを認識し、

第7条4項、5項の免除を受ける資格がない附属書I掲載植物種の標本の取引については、条約第3条の規定がいまだに許可の根拠であることも認識し、

人工繁殖のための商業事業設立を目的とした附属書I植物種の野生採取標本の輸入は条約第3条3(c)項によって除外され、第5回締約国会議(ブエノスアイレス、1985年)で採択され、第15回締約国会議(ドーハ、2010年)で改正された決議 5.10(Cop15で改正)でさらに説明されていることに留意し、

人工繁殖植物を大量に輸出する特定の締約国が、野生植物の保護を維持しつつ事務作業を減らす方法および人工繁殖植物の輸出業者が条約の要件を理解し遵守できるよう支援する方法をみつける必要があることに注目し、

注釈により示されるCITES条文の免除規定に従い、植物標本の合法的な国際取引が可能となり、またそのような免除の資格は原産国の外では失効することを意識し、

そのような標本はその後の国際取引のためにCITES許可書または証明書を必要とすることを意識し、

原産国で発給された輸出許可書を伴わない場合、そのようなCITES許可書または証明書の発給は困難なことがあることを認識し、

条約締約国会議は

「人工的に繁殖させた」の定義に関して

この決議で使われる用語について以下の定義を採択する。

a)「制御された条件下で」は植物生産という目的で人工的に集中的に操作された非自然環境を意味する。制御された条件の一般的な特性としては、耕作、施肥、除草ならびに害虫駆除、潅漑、または鉢植え、苗床もしくは天候からの保護などの種苗事業を含むが、それらに限定されない。および

b)「栽培された親株」は繁殖に使われ、制御された条件下で育成された植物の集合を意味し、輸出国の指定CITES当局が満足する程度に以下の条件を満たすものとする。

i) CITESおよび関連国内法の規定に従い、野生でのその種の存続に有害でない方法で確立された。かつ

ii) 野生からの補充の必要性を最小限にするか除去し、そのような補充は例外としてのみ起こり、栽培された親株の生長力と生産性を維持するために必要な量に限られるよう、繁殖に十分な量が維持されていた。

c) 「国際栽培植物命名規約」第8版の定義に従い、「栽培変種」とは、次のような植物の個体群を意味する。(a) 特定の形質または形質の組み合わせを得るために選抜され、(b) それらの形質が他と区別でき、均一で、安定しており、かつ (c) 適切な手段で繁殖させると、それらの形質を保持するもの。(ただし、9.1項の注1を参照)1

「人工的に繁殖させた」という用語は以下の植物標本を指すと解釈すると決定する。

a) 制御された条件下で育成された。かつ

b) 条約の規定を免除されるか、または栽培された親株から派生した種子、切り枝、株分け、カルス組織またはその他の植物組織、胞子またはその他の胚芽から育成された。

切り枝または株分けから育成された植物は、取引される標本が野生から採取されたものを含まない場合にのみ人工的に繁殖させたとみなされると決定する。かつ

野生から採取した種子または胞子から育成された標本については、関係する分類群について以下の条件を満たす場合にのみ、免除を与え、人工的に繁殖させたとみなすよう勧告する。

a)i) 多数の樹種で見られるように、標本が生殖年齢に達するまでに長い時間を要し、栽培された親株の確立が実際上かなり困難である。

ii) 種子または胞子が野生から採取され、生息国内の制御された条件下で育成され、生息国がその種子または胞子の原産国でもある。

iii) その生息国の関連管理当局が、種子または胞子の採取が合法的であり、その種の保護と保全に関する関連国内法と一致すると決定した。かつ

iv) その生息国の関連科学当局が以下のように決定した。

A.種子または胞子の採取は野生でのその種の存続に有害ではなかった。かつ

B.その標本の取引を許可することが野生個体群の保全に肯定的影響を与える。

b) 最低限、上記 a) iv) AならびにBを遵守するために

i) この目的のための種子または胞子の採取は野生個体群の再生を可能にする方法に限られる。

ii) そのような状況下で生産された植物の一部は、将来栽培された親株としての役割を果たし、種子または胞子の追加供給源になり、よって野生から種子または胞子を採取する必要性を削減または除去するプランテーションの確立に使われる。かつ

iii) そのような状況下で生産された植物の一部は、既存個体群の回復を促進するか、または絶滅した個体群を再確立するために、野生での再移植に使われる。

c) そのような条件下で商業目的のために附属書Iの種を繁殖させる事業の場合、附属書Iの種の人工的に繁殖させた標本を輸出する種苗事業の登録に関するガイドラインについての決議 9.19(CoP15で改正)に従い、CITES事務局に登録する。

接ぎ木した植物について

以下のように勧告する。

a) 接ぎ木した植物は、台木と接ぎ木の両方が上記の定義に従い人工的に繁殖させた標本から取られた場合にのみ人工的に繁殖させたものとして認識される。かつ

b) 異なる附属書に掲げる分類群で構成される接ぎ木した標本は、より厳重な附属書に掲げる分類群の標本として扱われる。

交配種に関して

次のとおりに決定する。

a) 交配種は附属書ⅡまたはⅢ中の特定の注釈によってCITESの規制から除外される場合を除き、その親のいずれかまたは両方が附属書に掲げられた分類群に属していれば、たとえその交配種が附属書に特に掲げられていない場合でも、条約の規定の対象となる。

b) 人工的に繁殖された交配種に関して

i) もっとも厳重な附属書に関連する規定が適用される場合、附属書Iに掲げる植物種その他の分類群に注釈を付ける(第15条に従う)。

ii) 附属書Ⅰに含まれる植物の種またはその他の分類群に注釈が付けられた場合、それに由来するすべての人工繁殖交配種の標本の取引には、輸出許可書または再輸出証明書が必要になる。

iii) ひとつ以上の注釈が付かない附属書Ⅰの種またはその他の分類群に由来する人工繁殖交配種は附属書Ⅱに含まれるものとみなされ、したがって、附属書Ⅱに含まれる種の人工繁殖標本に適用可能なすべての免除を受ける資格を得る。

栽培変種に関して

附属書I、IIまたはIIIの特定の注釈により除外されない限り、栽培変種は条約の規定の対象となると決定する。

附属書 I に掲げるラン科のフラスコ入り実生について

試験管中の固体または液体培地から取得され、無菌の容器に入れて輸送される附属書Iに掲げるラン種のフラスコ入り実生については、第7条4項および第1条 (b)(iii)項の規定を考慮に入れ、この免除に関する決議9.6(改正)からの逸脱に合意した上で、上記定義に従い人工的に繁殖させた場合にのみ CITESの規制を免除されると解釈するよう勧告する。

免除による国際取引が行われる植物標本について

CITESの規定の免除を受けて合法的に輸出入された標本が免除の資格を失った場合、免除資格を失った国がそれらの原産国とみなされると決定する。

植物での執行に関して

締約国に対して、次のことを保証するよう勧告する。

a) 執行係官はCITESの要件、CITES植物標本の検査並びに通関を司る手続き、および違法取引の摘発に必要な手続きについて十分情報を得ている。

b) 執行機関は標本が野生から取得されたものか、または人工繁殖されたものかを含め、取引される植物標本の識別を可能にする資料並びに専門知識を利用できる。

c) 施行機関は可能性のある違法取引を摘発するために、年次報告書、植物の健康に関する書類、ナーセリー(栽培場)のカタログ、その他の情報源を利用する。

d) 施行機関は施行の優先課題を設定並びに実施することを目的として、管理当局並びに科学当局との密接な連携を維持する。および

e) 施行を改善するために、取引されるものを注意深く検査し、特に人工的に繁殖させたと申告された植物を輸入と輸出両方の時点で検査する。

救出された植物標本の取引に関して

次のとおりに勧告する。

a) 締約国は可能な限り常に環境に変化をもたらす計画がCITES附属書に掲げる植物種の存続を脅かさないよう、また、附属書Ⅰ種の現地での保護を国内並びに国際的責務とみなすよう保証する。

b) 一致協力した試みにより、上記の計画がCITES附属書に掲げる種の野生個体群を危険な状態に置かないよう保証することができなかった場合、締約国は保護された標本の培養を確立する。

c) 保護された附属書Ⅰの植物標本、および取引が種の存続に有害な可能性がある附属書Ⅱの保護された標本の国際取引は、次の条件全部が満たされた場合に許可される。

i) 上記の取引が野生においてではないとしても、明瞭に種の存続を強化する。

ii) 輸入がその種の保護および繁殖という目的で行われる。

iii)輸入が「真正の」植物園または科学施設によって行われる。

CITESによる植物保護教育に関して

次のとおりに勧告する。

a) 科学、園芸または植物取引の専門誌、および植物協会の刊行物で発表するために、締約国は日常的に、植物に関するCITES施行の全側面に関する最新情報を提供する。

b) 締約国はCITES施行の全側面に関する最新情報を植物園、観光団体、関連NGOに定期的に提供し、一般社会への一層の普及を図る。

c) 締約国は国内の植物取引組織との間に良好な連携を確立し、それを維持し、植物に関するCITES施行の全側面に関する情報を提供し、また、これらの国内組織から提示された施行上の特定の問題を、締約国会議で協議するために事務局に通報する。

d) 事務局は国際植物取引組織並びに植物園協会(特に、国際植物園協会および植物園自然保護国際機構)との間に良好な連携を育て、それを維持する。

e) 事務局は人工繁殖の潜在的な保全上の有益性に関する情報を配布し、適切な場合、野生からの標本採取に代わる方法として人工繁殖を奨励する。かつ

決議9.18(フォートローダーデール、1994年、ハラレ、1997年で改正)-「植物の取引の規制」を廃棄する。 ■

--------------------------------------

1 9.1項の注1では、栽培した植物(栽培変種を含む)の新規の分類群は、その分類名および分類学的範囲が正式に公表されるまで、新規分類群と見なすことはできないと規定している。

ワシントン決議一覧へ戻る


もどる

pagetop