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ワシントン条約について

ワシントン条約決議

 
決議 10.7 * 附属書に掲げる種の没収された生きている標本の処分

* 第15回締約国会議で改正。

第9回締約国会議会合で採択された(フォートローダーデール、1994年)決議9.11を想起し、

条約8条4(b)項に従い、没収された生きている標本は、輸出国との協議の後、輸出国の負担する費用でその国に返送し又は保護センターもしくは管理当局が適当かつこの条約の目的に沿うと認める他の場所に返送することを想起し、

条約第8条4(c)項では、管理当局が科学当局又は事務局の助言を得る可能性を残していることを想起し、

第9回締約国会議会合で採択され(フォートローダーデール、1994年)、第10回、第13回、第14回および第15回会議で改正された(ハラレ、1997年;バンコク、2004年;ハーグ、2007年;ドーハ、2010年)、「没収され、蓄積した標本の処分」に関する決議9.10(Cop15で改正)が、まだそれを行っていない締約国に対し、罪を犯した輸入者及び/又は輸送者に、原産国又は再輸出国に没収された生きている標本を返送する費用を負担させるための法律を採択するよう勧告していることを想起し、

附属書II又はIIIの生きている標本の輸送には、適当な収容設備が入手できず、また、概して原産国及びそれらの標本の取得地に関する詳細なデータを欠いた大量の標本がしばしば含まれることに留意し、

罪を犯した当事者からの没収及び処分の費用の回収を成功させることは、違法取引を抑制する要因になる可能性があることを考慮し、

ひとたび取引に使われた標本は、もはや当該種の繁殖能力のある野生個体群の一部を成さないことを考慮し、

病原菌および寄生虫、遺伝子汚染、局所的動植物相に対する悪影響の導入など、没収された標本を野生に放出する際の危険性に関して憂慮し、

野生への放出は、特に絶滅の危険がない種の場合、種の保護にとって必ずしも改善の策とは限らないことを考慮し、

IUCNが「没収された動物の処分に関するガイドライン」及び「再導入に関するガイドライン」を作成していることを想起し、

条約の究極的目標は、野生個体群が自然生息地で存在し続けることであると確信し、

条約締約国会議は

次のとおり勧告する。

a) 管理当局は附属書の種の没収された生きている標本の処分に関して決定を下す前に、自国の科学当局及び可能ならば没収された標本の輸出国及びIUCN/SSC専門家グループなどの関連する専門家と協議し、その助言を受ける。

b) 各科学当局は助言する際に、付記1及び2のガイドラインに留意する。

c) 附属書Iに掲げられているか、又は附属書II又はIIIの場合は商業的量が関わる種の没収された生きている標本の処分に関して下されたいかなる決定に関しても、事務局に通告する。

d) 生きている標本が適切な輸出許可書又は再輸出証明書なしに輸入国に到着した場合、かつ輸入者が生きている標本の受領を拒否した場合、積荷は没収され、付記1又は2に明記されたガイドラインに従い標本は処分される。そして

e) 押収または没収された、危険な状態にある附属書I掲載種および附属書II掲載種の野生採取標本の世話を優先する。

管理当局に対し、科学当局及びその他の関係団体と協議し、押収されて没収された生きている標本を付記3に明記されたガイドラインに従って取り扱うための行動計画を策定するよう求める。

決議9.11(フォートローダーデール、1994年)-「附属書に掲げる没収された動物種の処分」を廃棄する。■

付記1 没収された生きている動物の処分に関するCITESガイドライン

原則の表明

生きている動物が政府当局に没収された場合、それらの当局はそれらを適切に処分する責任を負う。没収された動物の処分に関する最終決定は、法の範囲内で、次の3項目の目標を達成しなければならない。1)種の野生又は飼育個体群の健康、行動パターン又は保護状態をいかなる形でも脅かすことなく、標本の保護価値を最大にすること1、2)その種のさらなる違法又は変則的な取引を防止すること 3)動物を飼育下で維持すること、野生に戻すこと又は安楽死させることなど、人道的解決策を提供すること。

必要性の表明

野生の植物と動物の取引の規制を強化し、それらの規制を施行してきたことにより、規制の非遵守の結果として政府当局によって差し押さえられる野生生物の積荷の数が増加している。一部の例では、差し押さえは明白な違法取引の結果である。他の例では、それは輸出国の不十分又は不完全な書類、又は不手際な梱包により積荷中の生きている動物の快適さを損ねたなど、他の変則性に対する対応である。一部の例では、没収された積荷の中の生きている動物の数は少ないが、多くの場合、数量は数百個体に及ぶ。多くの国で、没収された動物は通常動物園又は水族館に寄付されるが、動物の数が多い場合、及びますます増えている例として、珍しくない動物の場合、この選択肢の実行可能性は低くなる。世界の動物園関係者らは、保護の優先順位の低い動物に限られた檻のスペースを与えることは、それらの個体にとっては利益になるが、保護努力全体にとっては逆効果であることを認識している。このため、彼らは檻のスペースに関して保護上の優先順位を定めようとしている。

これらの傾向により、生きている動物の処分に関し、没収を行う当局を指導する情報と助言に対する要求-及び緊急の必要性-が増している。オウムや霊長類など特定の生物集団については特定のガイドラインが作られているが、総合的なガイドラインは存在しない。

没収された動物を処分する際、当局は国内、地域及び国際法に従わねばならない。「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES)」では、条約の附属書に掲げる種の没収された個体は、「輸出国に返送し又は保護センターもしくは管理当局の適当かつこの条約の目的に沿うと認める他の場所に送る」(第8条)必要があるとされている。だが、条約ではこの要件について詳しく説明しておらず、CITES管理当局は本国送還に関してだけでなく、「適当かつ条約と合致する」処分が何を意味するのかに関しても、独自の解釈に従って行動しなければならない。このガイドラインはこの査定を行う際にCITES管理当局を助けることを意図したものだが、すべての没収された生きている動物に全般的に適用できるように作られている。

これまで具体的なガイドラインが無かったため、没収された動物はさまざまな方法で処分され、その多くは条約の目的と合致していない。中には慎重な評価の後、既存のガイドラインを尊重し、没収された動物を既存の野生の個体群に放出した例もある。一方、十分な計画なしに放出が行われた例もある。没収された動物を十分な計画なしに放出した場合、それらの動物を緩慢な痛みを伴う死に追いやることになる場合がある。また、そのような放出は既存の野生個体群を脅かすことにより、保護という観点から大きな逆効果となることがある。既存個体群への脅威にはいくつかの形がある。1)放出される動物が飼育下に置かれていた間にかかった病気及び寄生虫が既存の野生個体群に蔓延する。2)既存個体群又は既存個体群に近い場所に放出された個体が野生個体群と同じ品種又は亜種ではなく、独立した遺伝系統の間で交雑が起きる。3)飼育下に置かれた動物、特に若い個体や未熟な個体は、他の近縁種個体から不適当な行動パターンを獲得することがある。そのような動物を放出すると、種間交雑が起きる可能性がある。

没収された動物の処分は単純な過程ではない。そのような処分が簡単に済むことや、保護上の価値を持つ活動につながることは稀だ。これまで、没収された動物の処分に関する選択肢は、動物を野生に戻すことが動物の福祉及び保護という両方の観点から最適な解決策であるという考え方に影響されてきた。飼育動物の再導入に関して蓄積されてきた科学研究は、そのような行為は多数の理由からもっとも不適当な選択肢のひとつになる可能性があることを示唆している。このような認識を踏まえたうえで没収を行う当局が動物の処分のために利用できる選択肢を慎重に検討しなければならない。

管理のための選択肢

没収された動物の処分について決定を下す際、管理者は動物の人道的取扱い及び関係する種の既存野生個体群の保護並びに福祉の両方を保証しなければならない。処分のための選択肢は大きく3種に分類される。 1)個体の飼育下での維持 2)当該個体を野生での何らかの形の生活に戻す 3)安楽死。最後の選択肢がもっとも適当かつもっとも人道的であることが証明されることも頻繁にある。

保護という観点から、処分のための選択肢を考えるうえで特に重要なのは、当該種の保護状態である。絶滅のおそれがある種又は脅かされている種の没収された標本の場合は特に、それらの動物がその種の保護計画に寄与するかどうか、及びいかに寄与するかを評価する方向に努力を傾けるべきである。没収された動物の処分にどの選択肢を採用するかという決定は、種々の法的、社会的、経済的、生物学的要因に依存する。このガイドラインで提示する「決定樹」は、それらの選択肢に関する考慮を助けることを意図している。この決定樹は脅かされている種と普通に見られる種の両方に使えるように善かれている。ただし、没収された動物が積極的な保護繁殖/再導入計画を行う価値があるかどうか、国内又は国際機関が遺伝子による原産国及び取得地の決定、又は再導入、無害な導入、現存する野生個体群の補強などの費用がかかる困難な作業に進んで投資を行うかどうかについては、種の保護状態が最大の影響力を持つことが認識されている。IUCN種の保存委員会専門家グループなどの専門家の国際ネットワークは、没収された標本の適当な処分に関する協議において、没収を行う当局及びCITES科学並びに管理当局を支援する。

選択肢1一飼育

没収された動物はすでに飼育下にある。それらを飼育下で維持するには多数の選択肢がある。状況により、動物は寄付、貸与又は売却することができる。動物園その他の施設又は私人に預けることができる。最後に、原産国、輸出国(異なる場合は)、没収された国、又は当該種のために十分な及び/又は特殊な設備を持つ国に預けることができる。野生に戻すか又は殺すよりも望ましい方法として、動物が飼育下で維持される場合、それらに人道的飼育条件を提供し、自然な生活に対する適当な配慮を保証しなければならない。

動物園、水族館、サファリパークは動物の処分の際にもっともよく考慮される飼育施設であるが、他にも多様な飼育状態が存在する。それには次のようなものがある。

a) 傷を受けたか又は没収された動物を取り扱うために特に設置された救済センターは、多くの国で複数の愛護協会の後援を受けている。

b) 没収された動物専用の生涯保護施設が、いくつかの国に設置されている。

c) 単一の分類群又は種(たとえば爬虫類、両生類、鳥類)の研究と保護を専門とする専門家の協会またはクラブが、場合により、仲介業者を通した販売を行わずに没収された動物を処分するための方法を提供したことがある。

d) 愛護協会は没収された標本を生涯にわたり人道的に世話してくれる個人に確実に引き渡す作業を進んで行うことがある。

e) 大学と研究室はさまざまな研究のために(たとえば行動学、生態学、生理学、心理学、医学など)珍しい動物を収集・飼育している。生体解剖に関する姿勢、あるいは動物を傷つけない飼育個体群としての使用に関する姿勢さえ、国によって大きな違いがある。したがって、没収された動物の研究施設への移譲が適当かどうかについては議論の余地がある。ただし、人道的条件のもとで研究を実施する施設への移譲は、代替案としての可能性があり、いずれその種の保護に関係する情報を提供する可能性もある。多くの場合、出所が不明なことと、当該動物が未知の病原体と接触した可能性があることが原因で、研究施設への移譲という選択肢が実行されるか、又は望まれる見込みは薄い。

f) 没収された標本を売買業者、商業飼育繁殖業者、又はその他の商業活動に従事する人々に販売することは、没収の費用を補う処分方法を提供する。だが、販売は当該動物が脅かされず、取引の法的禁止条項(たとえばCITES附属書II)の対象にならず、さらなる違法又は変則的な取引を刺激する危険性がないような特定の状況においてのみ考慮すべきである。商業飼育繁殖業者への販売は、野生で捕獲された個体に対する需要を減らす上で効力を持つかもしれない。だが同時に、国が違法又は変則的取引を存続させるか又はそれから利益を得るという印象を一般の人々に与える危険性により、劣悪な選択肢であることが証明される可能性もある。最後に、没収を行う当局は、特定の法的規定が適用されない限り、ある場所に収容した後の動物の福祉を保証することは不可能であることを意識する必要がある。

動物が没収する当局によって移譲されるが販売はされないという場合、移譲の条件のひとつとして、所有権を特定するものとする。原産国が動物の返還を望めば、その希望は尊重すべきである。没収された動物の保管者は(動物園、福祉団体)、管理当局の認可を受け、合法的な人道的及び繁殖上の目的でのみ別の施設に動物を移送する。

飼育一長所と短所

没収された動物を人道的条件のもとで一生世話をする施設に収容することには、次のような長所がある。

a) 教育的価値

b) 最終的には再導入を行うことを目的とした飼育繁殖の潜在的可能性

c) 没収を行う当局が販売から没収の費用を回収できる可能性

飼育繁殖及び再導入のために確立された計画に関与しない施設に動物を収容することには、次のような短所がある。

a)望ましくない取引を奨励する潜存的可能性。一部の研究者は、没収された動物のいかなる移譲も-商業的であれ非商業的であれ-、それらの種の市場を助長し、国が違嘩又は変則的取引に関与しているという印象を与える危険性があると主張してきた。

バードライフ・インターナショナルは、特定の状況では、没収された動物の販売は望ましくない取引を必ずしも助長しないと示唆している。同団体は、没収を行う当局による販売が許されるために満たさねはならない次のような要件をあげている。1)販売される種が、没収が行われる国においてすでに商業的な量で販売されている。2)野生生物の輸入に関する犯罪で起訴又は有罪宣告を受けた野生生物取引業者は、当該動物の購入を禁じられる。米国での没収された動物の販売に関する経験から、違法又は変則的取引に関与したか、又は関与したことが疑われる取引業者が、没収された動物の購入に直接間接に関与していないと保証することは、ほとんど不可能であることが示唆される。これは没収が代償の増大につながるが、必ずしも没収の原因となった行為又は問題を抑制する要因にはならないことを示唆している。

脅かされた種の商業取引は望ましくない取引を刺激する危険性があり、考慮すべきではない。附属書Iの種は附属書Iの種のための登録商業繁殖施設に販売することができるが、それらの標本を再度販売したり、商業取引すべきではない。附属書Iの種の飼育繁殖子孫は、附属書IIに掲げる種の標本と見なされるため、繁殖業者が飼育下で動物を繁殖させ、野生で捕獲された動物の代わりに取引に使うようになる潜在的可能性がある。したがって、特定の状況では(たとえば飼育繁殖業者への販売など)、販売は種の保護のために非商業的な処分又は安楽死よりも明瞭な潜在的可能性を持つかもしれない。そのような繁殖計画は慎重に査定し、用心して扱わなければならない。これらの計画の監視は難しいことがあり、そのような計画は意図せずに又は意図的に、野生の動物の取引を刺激するおそれがある。

CITES附属書に掲げられていないが、CITES附属書Iの種と同じ取扱いを必要とする可能性がある多数の脅かされている種があることを没収を行う当局が認識することが不可欠である。

b) 収容の費用。いかなる支払も動物に価値を与えることになるが、没収された動物という寄贈品を受け取る施設が没収を行う当局に世話と輸送の費用を払い戻すことにした場合、取引が奨励されるという証拠はない。ただし、支払金額は最小限とすべきであり、可能な限り、動物を受け取る施設は全費用を直接負担すべきである。

c) 病気。没収された動物は病気の宿主になることがあり、そのため、きわめて厳重な検疫を行わなければならない。飼育施設への未知の病気の導入による潜在的影響は、野生の個体群への病気の導入の影響と同程度に深刻である。

d) 飼育動物は飼育環境から脱走し、害獣になる可能性がある。外来種の偶発的導入は、莫大な被害を引き起こすことがあり、英国における毛皮業者からのミンクMustela visonの脱走など、ある種のケースでは、飼育繁殖のための動物の輸入によって外来種の導入が起きることがある。

選択肢2一野生への返還

CITESでは、没収を行う当局が没収されたCITES掲載動物の輸出国への送還を処分の選択肢として考慮することを必要としているが、同条約では動物をその国の野生に戻すことは求めていない。このガイドラインでは、ごくわずかな例の非常に特別な状況下で、野生への返還が望ましい選択肢になることを示唆する。没収された動物の処分という問題を回避するための本国送還は無責任である。送還を考慮する場合、没収を行う当局は、動物の受領者がこれらのガイドラインに明記された送還による結果と処分の選択肢を完全に認識するよう保証しなければならない。さらに、動物を放出する目的で原産国に返送しようとする国は、原産国の管理当局が返送を承知していることを確認しなければならない。

この節における決定選択肢の多くの背後にある理論的根拠については、IUCN再導入ガイドラインで一層詳しく論じられている。これらのガイドラインが、野生への動物の返還のための各種選択肢を明瞭に区別していることに留意することが重要である。それについては次のページで詳しく説明する。

a) 再導入:かつてその種の分布域の一部だったが、現在はそこでは絶滅している地域で個体群を確立する試み。

よく知られている再導入例は、野生で絶滅した種の再導入である。その例としては、シフゾウElaphurus davidianus やアラビアオリックスOryx leucoryx などがある。他の再導入計画には、過去の分布域の一部には存在するが、他の部分には存在しなくなっている種が関与する。これらの計画の目的は、種が消えた地方又は地域に個体群を再確立することである。このタイプの再導入の例としては、最近カナダで行われたスウィフトギツネ Vulpes velox の再導入がある。

b) 既存個俵群の補強:同じ分類群の既存個体群への個体の追加。

自然個体群が少なくとも理論上は逆転可能な過程によって縮小している場合、補強は強力な保護手段になる。成功した補強プロジェクトとして、ブラジルでのゴールデンライオンタマリンLeontopithecus rosalia の例がある。生息地の消失にペットとしての生きている動物の捕獲が重なり、ゴールデンライオンタマリンは激減した。保護区が拡大され、ペット売買のための捕獲が抑制された時点で、衰退した野生の個体群を補うため、飼育下のゴールデンライオンタマリンが使われた。

補強は人間の活動によって傷を受けた個体に獣医による手当が加えられ、放出された場合にもっとも一般に行われる。そのような活動は多くの西欧諸国で普通に行われ、ハリネズミ Erinaceinae、猛禽類などの多様な種のための特定のプログラムが存在する。補強がいかに一般的な活動であろうとも、たとえ一時的にでも飼育下に置かれた個体が、野生個体群に病気を持ち込む宿主となるというきわめて深刻な危険性を伴う。

病気という内在する危険性のため、個体が導入される野生個体群の存続に補強が不可欠である場合など、直接的かつ測定可能な保護上の利益がある(個体数動態的又は遺伝的に)例でのみ補強を採用するものとする。

「野生への返還」一懸念と長所

没収された「動物の野生」への返還を考慮する前に、福祉、保護上の価値、費用、病気などの懸念される問題を総合的に考慮しなければならない。

a) 福祉。野生への返還は人道的に思えるかもしれないが、それは緩慢な死の宣告以外の何物も意味しない場合もある。人道的に考慮するには、没収された動物を自然に戻す各活動において徹底的な調査と慎重な計画を必要とする。そのような返還には、放出された個体の運命を監視するという意味で、長期的な関わり合いも必要である。一部の研究者は、放出された動物の存続の見込みが、少なくとも同じ性別と年齢層の野生の動物に匹敵するものでない限り、野生への返還を真剣に考慮すべきではないと主張している。野生の個体群に関するそのような個体数動態データは残念ながらめったに入手できないが、この提案の精神は尊重すべきである。没収された動物を野生に戻す試みにおいては、動物の人道的取扱いが必要である。

b) 保護上の価値と費用。没収された動物を野生に戻すことがもっとも人道的選択肢であると思われるケースでは、それが既存の野生の動植物個体群又はそれらが生きる場所の生態的完全性を脅かさない場合にのみ、そのような措置を講じることができる。その種全体及びすでに自由に生活している他の動物の保護は、すでに飼育下にある個体の福祉よりも優先されなければならない。

既存個体群が補強されるか、又は新たな個体群が確立される計画に動物を使う前に、それらの個体を野生に戻すことがその種の保護にとって重大な貢献となるかどうかを判断しなければならない。大きな個体群の方が絶滅の見込みが低いため、既存の非常に小さな野生個体群を補強することで、絶滅の確率が下がることが考えられる。非常に小さな個体群では、雄又は雌が欠けていることにより、個体数の増加の遅れ又は個体数の減少が起きることがある。特定の性別の動物を欠いている非常に小さな個体群を補強することも、その個体群の存続の見込みを改善する可能性がある。

没収された個体が再導入(前に定義したような)に使われる場合、それらが新個体群の核を形成することに留意すべきである。そのような計画を成功に導くためには、比較的多数の個体が必要である。したがって、没収された動物の小集団は、再導入計画には不適当な場合がある。

動物を適当な方法で野生に戻すための費用は、もっとも絶滅のおそれのある種以外には許されないほどの金額になることがある。保護上の利点が明らかにこれらの費用を上回るような種は、CITESで規制されていない多数の種を含むものの、CITES附属書に掲げる種の中ではごく一部にすぎない。大半のケースでは、適当で責任ある再導入にかかる費用により、野生への返還が阻まれる。不十分に計画又は実行された再導入計画は、野生に動物を放り出すことに相当し、保護と人道上の根拠により、それには強く反対すべきである。

c) 個体の出所。原産国及び動物の取得場所が不明な場合、又は動物の出所について何らかの疑問がある場合、補充によって独立した遺伝品種又は亜種が偶発的に汚染されることがある。特定の局所的品種又は亜種が局所的環境に特に適応している場合、他の品種又は亜種からの動物の混入は、局所的個体群に被害をもたらすことがある。動物を誤ったタイプの生息地に導入することが、その動物の死を引き起こすこともある。

d) 病気。たとえ短期間でも飼育下に置かれ、及び/又は輸送された動物は、さまざまな病原体に接触した可能性がある。これらの動物を野生に放出することは、同種又は近縁でない種に病気を持ち込み、破滅的な影響を及ぼすおそれがある。没収された動物が新たな病原体に感染したごくわずかな危険性でもあれば、導入された病気が野生個体群に及ぼすおそれがある影響は非常に大きく、しばしばそのために、没収された動物の野生への返還が阻まれる。

没収された動物が野生への返還に適さないことが判明した場合でも、それらが病気を持たないこと、又はこれらの動物が持つ病気と寄生虫が、それらが移される先の飼育個体群ですでに見られるものであることを保証するため、病気のスクリーニングと適当な検疫は不可欠である。持ち込まれた病気は、集められた各種の動物全体への感染が深刻な脅威である動物園をはじめ、飼育施設にとって危険である。そのような検疫で、ある個体が健康であると保証できない場合は、無期限の隔離又は安楽死という方法を実施しなければならない。

没収された動物の野生への返還を処分の一選択肢と見なさなければならない例があることは明らかだ。何よりもまず、動物を野生に戻すことが、当該種の保護にとって重大な貢献になるか、という質問に答えなければならない。飼育下にあった動物を野生に放出することは危険だ。検査で判明する病気もあるが、多くの動物の病気には検査方法が存在しない。さらに、飼育下にあった動物は、自然生息地では普通遭遇しない病気としばしば接触する。獣医や検疫官が、当該種は特定の病気にしかかからないと思い込み、飼育下でかかった病気の検査を行わないおそれもある。

いかなる放出にも何らかの危険性があることを考慮し、次のような「予防原則」を採用しなければならない。没収された標本を放出することに保護上の価値がない場合、すでに存在したものではない病気を偶発的に環境に持ち込む可能性により、いかにその見込みが低くとも、没収された標本を野生に戻すという案は排除される。

再導入又は既存個体群の補強により動物を野生に戻すことには、いくつかの長所がある。

a) 既存の個体群が深刻に脅かされている状況では、そのような措置によってその種全体又はその種の局所的個体群の長期的な保護可能性が改善されることがある(ゴールデンライオンタマリンなど)。

b) 動物を野生に戻すことは、動物の運命に関して強力な政治的/教育的声明になり(オランウータンPongo pygmaeus やチンパンジーPan troglodytes など)、局所的な保護の価値の強化に役立つことがある。だが、教育又は啓蒙計画の一環として、野生への返還に伴う費用と困難について強調しなければならない。

選択肢3一安楽死

人道的ガイドラインに従って動物を殺す安楽死は、没収された動物の処分に関する選択肢として、没収を行う当局の間で好まれるとは思えない。だが、安楽死がしばしばもっとも簡単でもっとも人道的な選択肢になるという点は、いくら強調してもしすぎることはない。多くの場合、生きている動物を没収する当局は、次のような状況に遭遇する。

a) 何らかの方法での野生への返還が不必要か(非常に生息数の多い種の場合)、不可能か、又は生物学上及び動物の福祉に関するガイドラインに従う必要により、費用がかかりすぎて不可能である。

b) 飼育施設への収容が不可能か、又は販売に問題があるか又は議論を呼ぶ深刻な懸念がある。

c) 輸送の途上又は飼育下で、動物が治療不可能な慢性的病気にかかり、そのため、飼育又は野生の個体群にとって危険である。

安楽死にはいくつかの明瞭な長所がある。

a) 関係する種の保護及び既存の飼育及び野生の個体群の保護という観点から、安楽死は動物を野生に戻すことと比べてはるかに危険が少ない。

b) 密輸又はその他の違法取引、不十分な書類、不手際な梱包、その他の問題のいずれであれ、当該動物が完全に取引から排除されるため、安楽死は没収という結果を引き起こした活動を防止する役割を果たす。

c) 安楽死は没収された動物の福祉にとって最善の策になり得る。既存の個体群の補強又は再導入に対して十分な資金が確保できない限り、野生への放出は既存の野生個体群に対して膨大な危険をもたらし、個体の存続の見込みも深刻に阻害され、その結果、飢餓、病気、捕食によって死ぬ可能性がある。

d) 動物が殺された場合、又は飼育下で自然死した場合、死んだ標本は自然史博物館の収蔵品又は大学や研究機関の参考資料収集品とするものとする。そのような参考資料収集品は生物多様性の研究にとって重要である。そのような収容が不可能であれば、動物の部分若しくは派生物の取引を避けるため、死体は焼却する。

決定樹分析

「野生への返還」及び「飼育選択肢」に関する決定樹では、没収する締約国は最初に次のような質問をしなければならない。

質問1:動物を野生に戻すことは教育その他の手段を含め、その種の保護に対する重要な貢献になるか。

没収された標本の処分に関する決定でもっとも重要な考慮事項は、当該種の保護である。没収された動物が病気及び寄生虫を持たないという絶対的確信は決して得られないため、飼育下に置かれていた個体を野生に戻すことは、その動物が戻される生態系中の同種又は別種の既存個体群に対して常に何らかの水準の危険を伴う。

没収された動物を野生に放出することがもっとも人道的措置であると思われる場合、それは既存の野生個体群の存続の見込みを改善しなければならない。少数の個体の短期的快適さだけではなく、可能な限り多数の個体の存続を保証することが、人道上及び保護上の観点からもっとも有益である。保護上の価値という観点での利点が潜在的危険性を明らかに上回らなければならない。

ほとんどの場合、野生への返還による利点よりも、そのような措置の費用と危険性の方が上回るだろう。動物の野生への返還に保護上の価値がない場合、飼育選択肢の方が危険が少なく、より人道的な代替策になる。

答え: はい: 「野生への返還」の選択肢を調べる。

     いいえ: 「飼育」の選択肢を調べる。

決定樹分析一飼育

没収された動物を飼育下に維持するという決定のための考慮事項は野生に戻すという決定よりも単純である。現在の決定樹における選択肢の順序は、すべての国のすべての当局にとってもっとも適当とは限らないことに留意すべきである。特定のケースとその特定の状況に基づき、どの選択肢が最適かを、没収する各当局が決定することが期待される。

質問2:動物は総合的な獣医によるスクリーニングと検疫によって病気を持たないと判断されたか。

飼育個体群に病気を持ち込む危険性があるため、認可された飼育施設に移譲される動物は、健康状態の証明書を必要とする。没収された動物が健康でないと判断された場合、移譲される前に検疫にかけるか、又は移譲される施設が十分な検疫施設を備えていなければならない。検疫中に動物が治療不可能な病気を持つことが判明した場合、他の動物への感染を防ぐため、それらは殺さなければならない。

答え: はい: 質問3へ進む。

     いいえ: 検疫。検疫後に再度質問2で評価。慢性の治療不可能な感染の場合、まず動物を研究施設に提供する。

そのような施設への収容が不可能な場合は殺処分する。

質問3:非商業的飼育施設の場所を確保できるか(たとえば生涯保護施設、動物園、救済センター)。

動物の動物園又は生涯保護施設への移譲は、没収された動物を処分するための全般的に安全かつ受け入れられる手段を提供するものとする。複数の施設から選択しなけれはならない場合、どの施設がもっとも一貫した世話を提供し、動物の福祉を保証できるかという点が、もっとも重要な考慮事項である。移譲の条件については、没収する当局と受け入れ施設の間で合意に達する必要がある。そのような合意の条件には次の項目を盛り込む必要がある。

a) 生涯の世話、又はそれが不可能になった場合は、生涯の世話を保証できる他の施設への移譲、又は安楽死を保証するという明瞭な約束

b) 関与する動物の再販売の排除

c) 当該標本及び繁殖が行われる場合はその子孫の所有権の明瞭な特定。状況により、所有権は没収する当局、原産国、又は受け入れ施設のいずれかに与えられる。

大半の例では、動物が没収された国の施設、動物園、水族館には場所がない。そのような場合は、1)他の飼育選択肢を調べるか、2)没収した国以外の飼育施設への移譲について調べるか、又は3)動物を殺処分する。

答え: はい: 合意内容を実行し、移譲する。

     いいえ: 質問4に進む。

質問4: 個人が非商業的に人道的な生涯の世話を提供することが可能で、その意志があるか。

多くの国に、個々の種又は種のグループの交配及び繁殖にかなりの専門知識を持ち、活発に活動する専門家の協会又は個人のクラブがある。そのような協会は仲介業者を通じた販売を行わずに没収された動物の家を探す援助が可能である。この場合、没収された動物を受け取る個人は、当該種の交配における専門知識を実証し、当該クラブ又は協会から十分な情報と助言を得なければならない。専門家の協会又は個人会員への移譲は、没収する当局との間で合意された条件に従って行わねばならない。そのような合意内容は生涯保護施設又は動物園の場合と同じか、又は類似のものとすることができる。

答え: はい: 合意内容を実行し、移譲する。

     いいえ: 質問5に進む。

質問5:施設が人道的条件のもとで実施される研究のために動物に関心を抱いているか。

多くの大学と研究室が、人道的条件のもとで実施される研究のために珍しい動物を収集・飼育している。これらの動物が福祉を保証された条件に置かれるならば、そのような施設への移譲は販売や安楽死などの他の選択肢に代わり受け入れられる代替策になる。前の例同様、そのような移譲は没収する当局との間で合意された条件に従って行わねばならない。すでに示唆したものに加え、当局が許可できると見なす研究のタイプを規定する条項を含むことが望ましい。

答え: はい: 合意内容を実行し、移譲する。

     いいえ: 質問6に進む。

質問6:その種は附属書Ⅰに掲げるものか、又は絶滅のおそれがある、もしくは危険な状態にあると見なされているか。

附属書Ⅰの種の標本の商業的販売は、その種の取引を刺激することは望ましくないため、許可してはならない。CITES附属書に掲げられていないが、にも関わらず深刻な絶滅のおそれがある種にも、同じように用心しなければならない。

答え: はい: 質問7に進む。

     いいえ: 質問8に進む。

質問7:この附属書Ⅰの種の繁殖を行っている商業施設があり、その施設がその標本に関心を抱いているか。

前述のように、附属書Ⅰの種の飼育下で繁殖された子孫により、繁殖業者が飼育下で動物を繁殖させ、野生で捕獲された動物の代わりに取引に使うようになる潜在的可能性が生じる。そういった繁殖計画は慎重に査定し、用心して取り扱わなければならない。そのような計画の監視は難しく、意図的に又は意図せずに、野生の動物の取引を刺激する可能性がある。この移譲又は繁殖貸与が保護に貢献する潜在能力は、その種の野生の個体群を一層危険な状態にするような取引を刺激するたとえ最小限の危険性とさえ慎重に比較検討しなければならない。

答え: はい: 合意内容を実行し、移譲する。

     いいえ: 殺処分し、死体を前述のように処分する。

質問8:販売が違法又は変則的な取引を一層刺激すると懸念する根拠はあるか。

没収された動物の販売が法律上許可される場合でも、それは考慮が難しい選択肢である。販売の利点-収入と迅速な処分-は明らかだが、関与する標本のさらなる商業取引の結果として多数の問題が発生する可能性がある。同様に、非商業取引の結果としてそのような問題が発生する状況もあること、また、それとは逆に、飼育繁殖業者への販売が野生からの取得の代わりになる生産に貢献する可能性があることに留意すべきである。

ほとんどの場合、絶滅のおそれが無く、商業取引から法的に保護されてもいない種(CITES附属書IIの種)に対してのみ販売を考慮するものとする。商業飼育繁殖事業が繁殖のために個体を受け取り、それが取引の対象とされる野生個体群への圧力を減じることになるという稀なケースもある。あらゆる状況において、没収を行う当局は次のことを確認するものとする。1)没収の原因となった違法又は変則的な取引に関与した者はその動物を取得できない。2)販売は没収の目的を損なわない。そして最後に、3)販売はその種の違法、変則的、又はそれ以外の望ましくない取引の増加を引き起こさない。いくつかの国における(米国など)販売に関する以前の経験から、没収された動物の販売には計画実施上及び政治上の多数の問題があり、議論を呼ぶことに加え、非生産的でもあることが示されている。

答え: はい: 殺処分し、死体を前述のように処分する。

     いいえ: 資格ある購入者に販売する。

決定樹分析一野生への返還

質問2:総合的な獣医によるスクリーニングと検疫により、動物が病気を持たないと判断きれたか。

野生個体群に病気を持ち込む危険性があるため、放出される動物は健康状態の証明書を必要とする。そのような動物が健康でないと判断された場合、野生への返還を考慮する前に検疫にかけなければならない。検疫中に動物が治療不可能な病気を持つことが判明した場合、他の動物への感染を防ぐため、それらは殺処分しなけれはならない。

答え: はい: 質問3に進む。

     いいえ: 検疫。検疫後に再度質問2で評価。

慢性の治療不可能な感染の場合、まず動物を研究施設に提供する。そのような施設への収容が不可能な場合は殺す。

質問3:原産国及び取得場所を決定できるか。

没収された個体を再導入するか、又は既存個体群の補充に使う場合は、それらが野生から除去された地理上の位置を決定しなければならない。ほとんどの場合、動物はそれらが捕獲された元の個体群に似た遺伝的構成を持つ個体群にのみ返還するものとする。

原産国及び取得場所が不明な場合、補強のための放出により、独立した品種又は亜種の偶発的交雑が起き、異系交配による抑制につながることがある。野生で同所に生息し、決して交雑しない近縁動物が、飼育下又は複数の種の集団の形で輸送された時に交雑する例が知られている。このタイプの「誤った刷り込み」は行動上の問題につながり、将来の放出の成功の妨げとなり、行動によって制御される繁殖隔離を人工的に壊すことにより、野生個体群にも脅威をもたらすおそれがある。

答え: はい: 質問4に進む。

     いいえ: 「飼育」選択肢を追求する。

質問4:動物は迅速に原産地に戻ることができ、そのような措置の利点は危険性を上回るか。

答え: はい: 本国に送還し、IUCNガイドラインに従って原産地(特定の場所)で補強する。

     いいえ: 質問5に進む。

質問5:当該種に閲し、一般に認識された飼育繁殖又は再導入計画が存在するか。

当該種が共同飼育繁殖及び/又は再導入計画の一部である場合は、動物はその計画に提供すべきである。

答え: はい: 質問6に進む。

    いいえ: 質問7に進む。

質問6:動物は既存の繁殖/再導入計画に適当な個体群に由来するか。

活発な飼育繁殖及び/再導入計画が存在し、さらなる繁殖ストック/繁殖開始個体が必要な種の場合、没収された動物は適当な科学当局と協議した後、そのような計画に移譲すべきである。当該種は飼育繁殖計画の一部だが、動物はその計画の一部ではない亜種又は品種であるという場合、他の処分方法を考慮しなければならない。偶発的な交雑によって飼育繁殖計画が損なわれないよう、遺伝的スクリーニングには特に注意を払うべきである。

答え: はい: 既存の計画への移譲。

     いいえ: 質問7に進む。

質問7:IUCNガイドラインに従い新たな再導入計画を確立すると約束されているか。

動物を既存の計画に移譲できない場合、適当なガイドラインに従った野生への返還は、次のような状況でのみ可能になる。1)そのような事業に適した生息地が存在する。2)再導入に必要な多年にわたる計画を支えるための十分な資金を使えるか又は使えるようにすることができる。3)再導入活動が潜在的に実行可能な程度の十分な数の動物を使用できるか、又は既存個体群の補強のみが考慮される。多くのケースで、これらの要件全部ではないにしても少なくともひとつは満たせない。そのような場合は、動物の処分のための他の選択肢を考慮しなければならない。

特定の種又は分類群の動物が何らかの頻度で没収される場合、再導入又は補強計画を立案するかどうかを考慮すべきである。そのような計画の立案中、動物は没収を行う当局によって無期限に保管されるべきではなく、新計画を立案する組織と協議した後、保管施設に移譲するものとする。

答え: はい: 保管施設又は新計画に移譲する。

     いいえ: 「飼育」選択肢を追求する。

<「飼育」選択肢に関する決定樹>

<「野生への返還」に関する決定樹>

(訳注:省略)

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1 この文書では種に言及しているが、明確に規定された亜種及び品種を持つ種の場合、ここで扱われる案件は種よりも下の分類群に適用される。

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付記2 没収された生きている植物の処分に関するCITESガイドライン

これらのガイドラインは原産国と輸入国の当局に向けたものである。政府当局が生きている植物を押収し、その後没収した場合、それらの当局はそれらを適当に処分する責任を負う。輸入国の場合、通常、植物の原産国及び/又は輸出国と最初に連絡を取り、押収について通告する。没収された植物の処分に関する最終決定は、法の範囲内で、次の3項目の目標を達成しなけれはならない。

a) その分類群(種、亜種など)の野生又は栽培個体群の遺伝的完全性又は保護状態をいかなる形でも脅かすことなく、標本の保護価値を最大にすること

b) その分類群の一層の違法又は変則的な取引を防止すること

c) それらの世話又は処分に関与する組織が使う資源が、他の同様に重要な保護活動から流用されることを回避すること

必要性の表明

野生の植物と動物の取引の規制を強化し、それらの規制を施行してきたことにより、規制の非遵守の結果として政府当局によって差し押さえられる野生生物の積荷の数が増加している。一部の例では、差し押さえは明白な違法取引の結果である。他の例では、それは輸出国の不十分又は不完全な書類など、他の変則性に対する対応である。一部の例では、押収された積荷中の植物の数は少ないが、多くの場合、数量は数百又は数千に及ぶ。多くの国で、没収された植物は通常植物園又はその他の公的に運営された生きている植物の収集施設に寄付されるが、書類が完備していない多数の植物、及び人工繁殖により園芸施設から供給された珍しくない植物の場合、この選択肢の実行可能性は低くなる。

これらの傾向により、生きている植物の処分に関し、CITES当局を指導する情報と助言に対する需要-及び緊急の必要性-が増している。ソテツ科植物など特定の植物集団については適用できる選択肢について協議されているが、総合的なガイドラインは存在しない。

没収された植物を処分する際、当局は国内、地域及び国際法に従わねばならない。絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約(CITES)では、条約の附属書に掲げる種の没収された生きている標本は、「輸出国に返送し又は保護センターもしくは管理当局の適当かつこの条約の目的に沿うと認める他の場所に送る」(第8条)必要があるとされている。だが、条約ではこの要件について詳しく説明しておらず、CITES管理当局は本国送還に関してだけでなく、「適当かつ条約と合致する」処分が何を意味するのかに関しても、独自の解釈に従って行動しなければならない。このガイドラインはこの査定を行う際にCITES管理当局を助けることを意図したものだが、すべての没収された生きている植物に全般的に適用できるように作られている。

これまで具体的なガイドラインがなかったため、没収された植物はさまざまな方法で処分され、その多くは保護目的と合致していない。中には慎重な評価の後、既存のガイドラインを尊重し、没収された植物を既存の野生の個体群に移植した例もある。一方、十分な計画なしにそのような放出が行われた例もある。そのような放出は既存の野生個体群を脅かすことにより、強い負の保護価値を持つことがある。既存個体群への脅威にはいくつかの形がある。

a) 放出される植物が園芸施設に置かれていた間にかかった病気及び寄生虫が既存の野生個体群に蔓延する。

b) 既存個体群の中又は既存個体群に近い場所に植えられた標本が野生個体群と同じ品種又は亜種ではなく、独立した遺伝系統の聞で交雑が起きる。

最近まで、没収された植物の処分は、植物園での長期的な世話又は野生から取得される種に対する需要を軽減するための人工繁殖を目的とした安全な植物育成所への移譲を意味していた。

管理のための選択肢

保護という観点から、処分のための選択肢を考えるうえで特に重要なのは、当該種の保護状態である。絶滅のおそれがあるか又は脅かされている分類群の没収された植物の場合は特に、それらの植物がその分類群の保護計画に寄与するかどうか、及びいかに寄与するかを評価する方向に努力を傾けるべきである。没収された植物の処分にどの選択肢を採用するかという決定は、種々の法的、経済的、生物学的要因に依存する。このガイドラインで提示する「決定樹」は、それらの選択肢に関する考慮を助けることを意図している。この決定樹は脅かされている分類群と普通に見られる分類群の両方に使えるように書かれている。ただし、没収された植物が積極的な保護繁殖/再導入計画を行う価値があるかどうか、国内又は国際機関が遺伝子による原産国及び採取地の決定、又は再導入計画の立案、現存する野生個体群の補強などの費用がかかる困難な作業に進んで投資を行うかどうかについては、分類群の保護状態が最大の影響力を持つことが認識されている。IUCN種の保存委員会専門家グループ、国際植物園自然保護協会(BGCI)、国際植物園協会(IABG)などの専門家の国際ネットワークは、没収された標本の適当な処分に関する協議において、没収を行う当局及びCITES科学並びに管理当局を支援するものとする。没収された植物は、その運命が園芸施設での長期的維持であれ、最終的な野生への再導入であれ、原産国の繁殖センターが存在し、その委託品を進んで受け入れるなら、最初にその繁殖センターがそれを入手できるようにすべきである。

選択肢1-栽培

押収された植物は通常、没収に関する決定を待つ間、公的に運営された園芸施設で維持される。その後はそれらの維持に関し、多数の選択肢がある。原産国、輸出国(異なる場合)、没収が行われた国、又は当該分類群のために十分な及び/又は専門の施設を持つ国に収容することができる。状況と国内法に従い、植物は寄付、貸与又は販売できる。最終的には植物園その他の公的に運営された施設か、又は私的組織/個人が収容する。

収容の選択肢には次のようなものがある。

a) 植物園及びその他の公的に運営される施設が、これまでほとんどの場合に使われてきた(場合によっては、収容力の限界に達し、他の生息地外の保護活動実施能力が損なわれる)

b) 大学と研究室はさまざまな研究のために(たとえば分子分類学、解剖学、細胞遺伝学、生殖生物学など)生きている植物を収集している。没収された植物の研究施設への移譲が適当かどうかは、実施される研究が最終的にその種の保護に関係する情報を提供する見込みに依存する。場合によっては、出所が不明なことが原因で、研究施設への移譲という選択肢が実行されるか又は望まれる見込みは薄い。実施される研究の性質によっては、当該植物の原産国の権利を生物多様性条約に従って保護するための書面による合意内容を定めることも重要である。

c) 単一の植物集団(たとえば多肉植物)の研究と世話を専門とする専門家の協会又はクラブが、場合により、仲介業者を通した販売を行わずに没収された植物を処分するための方法を提供することができる。ただし、そのような組織に野生で採取した標本を取引する人物が含まれないことを保証するよう注意しなければならない。

d) 没収された標本を売買業者、商業栽培業者、又はその他の商業活動に従事する人々に販売することは、特に人工的に繁殖された大きな委託貨物の場合など、没収の費用を補う処分方法を提供する。だが、当該植物が原産国で合法的に採取され、生物多様性条約に反して利用されず、取引の法的禁止条項の対象にならず、さらなる違法又は変則的な取引を刺激する危険性がない場合以外には、販売を考慮すべきではない。商業栽培業者への販売は、野生で採取された標本に対する需要を減らすうえで効力を持つかもしれない。だが同時に、国が遵法又は変則的取引を存続させるか又はそれから利益を得るという印象を一般の人々に与える危険性により、劣悪な選択肢であることが証明される可能性もある。

植物が没収する当局によって移譲されるが販売はされないという場合、移譲の条件のひとつとして、管理当局の所有権を特定するものとする。原産国が植物の返還を望めば、植物が返還の行程で生き残れる状態にある限り、その希望は尊重すべきである。没収された植物の保管者は(植物園その他の組織)、管理当局の認可を受け、合法的な繁殖上の目的でのみ別の施設に没収された株を移送する。

栽培一長所と短所

没収された植物を満足できる基準の園芸上の世話を提供できる施設に収容することには、次のような長所がある。

a) 教育的価値

b) 最終的な再導入及び/又は人工繁殖標本に対する消費者の需要を満たすための繁殖の潜在的可能性

c) 遺伝子フィンガープリント法その他の分子研究を実施し、個体群の遺伝的特徴ひいては当該分類群の保護状態の理解を促進する潜在的可能性

人工繁殖及び再導入のために確立された計画に関与しない施設に植物を収容することには、次のような短所がある。

a) 次の場合を除き、違法取引を奨励する危険性。

i) 販売される分類群が、没収が行われる国においてすでに商業的な量で、又は合法的に取り引きされる野生採取標本として入手できる。

ii) 野生生物の輸入に関する犯罪で起訴又は有罪宣告を受けた野生生物取引業者は、当該植物の購入を禁じられる。

脅かされた分類群の商業取引は望ましくない取引を刺激する危険性があり、考慮すべきではない。附属書Iの分類群は附属書Iの分類群のためにCITESに従い登録された植物繁殖施設に販売することができるが、没収された標本自体を再度販売したり、商業取引すべきではない。附属書Iの分類群の人工的に繁殖された子孫は附属書ⅠIに掲げる種の標本と見なされるため、繁殖業者が標本を繁殖させ、野生で採取された植物の代わりに取引に使うようになる潜在的可能性がある。したがって、特定の状況では(たとえば植物繁殖業者への販売など)、貸与又は販売は分類群の保護のために非商業的な処分又は破壊よりも明瞭な潜在的可能性を持つかもしれない。そのような繁殖計画の監視は難しいことがあるため、慎重に査定し、用心して扱わなければならない。

現在はCITES附属書に掲げられていないが、CITES附属書Ⅰの分類群と同じ取扱いを必要とする可能性がある多数の脅かされている分類群があることを、没収を行う当局が認識することが不可欠である。

b) 収容の費用。押収された植物は没収に関する決定を待つ間保管されるが、植物を世話する施設は、輸入者、航空会社及び/又は没収を行う当局から費用の払い戻しを受けることができる。没収の際、植物が商業組織に販売された場合、CITES当局が受領するいかなる支払も植物に価値を与えることになる。だが、商業取引業者が世話と輸送の費用を払い戻すことにした場合、取引が奨励されるという証拠はない。

c) 病気。没収された植物は病気の宿主になることがあり、そのため、適当な検疫を行わなければならない。園芸施設への未知の病気の導入による潜在的影響は、野生の個体群への病気の導入の影響と同程度に深刻である。

d) 逸出の危険性。植物は園芸的制御から逸出し、有害な雑草になる可能性がある。外来種の偶発的導入は、莫大な被害を引き起こすことがあり、国によってはこのようなことが起きる危険性を抑制することを目的とした厳重な法律を定めている。

選択肢2一野生への返遺

CITESでは、没収を行う当局が没収されたCITES掲載植物の輸出国への送還を処分の選択肢として考慮することを必要としているが、同条約では植物をその国の野生に戻すことは求めていない。このガイドラインでは、特定の状況下でのみ野生への返還が望ましい選択肢になることを示唆する。没収された植物の処分という問題を回避するための本国送還は無責任である。送還を考慮する場合、没収を行う当局は、植物の受領者がこのガイドラインに明記された送還による結果と処分の選択肢を完全に認識するよう保証しなければならない。さらに、植物を原産国に返送しようとする国は、原産国の管理当局が返送を承知し、それを歓迎していることを確認しなけれはならない。

この節における決定選択肢の多くの背後にある理論的根拠については、IUCN再導入ガイドライン(IUCN/SSC再導入専門家グループ、IUCN、1995年)で一層詳しく論じられている。これらのガイドラインが、野生への生物の返還のための各種選択肢を明瞭に区別していることに留意することが重要である。それについては次に詳しく説明する。

a) 再導入:かつてその分類群の分布域の一部だったが、現在はそこでは絶滅している地域で個体群を確立する試み。

植物に関してよく知られている再導入例は、野生で絶滅した分類群の再導入である。他の再導入計画には、過去の分布域の一部には存在するが、他の部分には存在しなくなっている分類群が関与する。これらの計画の目的は、分類群が消えた地方又は地域に個体群を再確立することである。

b)既存個体群の補強:同じ分類群の既存個体群への標本の追加。

自然個体群が少なくとも理論上は逆転可能な過程によって縮小している場合、補強は強力な保護手段になる。

病気という内在する危険性のため、標本が導入される野生個体群の存続に補強が不可欠である場合など、直接的かつ測定可能な保護上の利益がある(個体数動態的又は遺伝的に)例でのみ補強を採用すべきである。

野生への返還一懸念と長所

没収された植物の野生への返還を考慮する前に、保護上の価値、費用、標本の出所、病気などの懸念される問題を総合的に考慮しなければならない。

a) 保護上の価値と費用。没収された植物を野生に戻すことが実行可能と思われるケースでは、それが既存の野生の動植物個体群又はそれらが生きる場所の生態的完全性を脅かさない場合にのみ、そのような措置を講じることができる。その分類群全体及びすでに自由に生きている他の生物の保護は、すでに栽培下にある標本の福祉よりも優先されなければならない。

b) 標本の出所。原産国及び植物の採取場所が不明な場合、又は植物の出所について何らかの疑問がある場合、補充によって独立した遺伝品種又は亜種が偶発的に汚染されることがある。

c) 病気。たとえ短期間でも栽培下に置かれ、及び/又は輸送された植物は、さまざまな病原体に接触した可能性がある。これらの植物を野生に放出することは、同種又は近縁でない種に病気を持ち込み、破滅的な影響を及ぼすおそれがある。没収された植物が新たな又は普通の園芸病原体に感染したごくわずかな危険性でもあれば、導入された病気が野生個体群に及ばすおそれがある影響は非常に大きく、しばしばそのために、没収された植物の野生への返還が阻まれる。

没収された植物が野生への返還に適さないことが判明した場合でも、それらが病気を持たないこと、又はこれらの植物が持つ病気と寄生虫が、それらの標本が移される栽培個体群ですでに見られるものであることを保証するため、病気のスクリーニングと適当な検疫は不可欠である(かつ、しばしば法律上の要件である)。持ち込まれた病気は、園芸施設にとって深刻な脅威となることがある。そのような検疫で、ある標本が健康であると保証できない場合は、没収された標本の無期限の隔離又は破壊を実施しなければならない。

没収された植物の野生への返還を処分の一選択肢と見なさなければならない例があることは明らかだ。何よりもまず、植物を野生に戻すことが、当該分類群の保護にとって重大な貢献になるか、という質問に答えなければならない。園芸施設で保管された植物を野生に放出することは危険だ。検査で判明する病気もあるが、すべての植物の病気に検査方法が存在するわけではない。さらに、園芸施設で保管された植物は、自然生息地では普通遭遇しない病気としばしば接触する。

いかなる放出にも何らかの危険性があることを考慮し、次のような「予防原則」を採用しなければならない。没収された標本を放出することに保護上の価値がない場合、すでに存在したものではない病気を偶発的に環境に持ち込む可能性により、いかにその見込みが低くとも、没収された標本を野生に戻すという案は排除される。

再導入又は既存個体群の補強により植物を野生に戻すことには、いくつかの長所がある。

a) 既存の個体群が深刻に脅かされている状況では、そのような措置によってその分類群全体又はその分類群の局所的個体群の長期的な保護可能性が改善されることがある。

b)植物を野生に戻すことは、植物の運命に関して強力な政治的/教育的声明となり、局所的な保護の価値の向上に役立つことがある。だが、教育又は啓蒙計画の一環として、野生への返還に伴う費用と困難について強調しなければならない。

選択肢3一破壊

珍しくない分類群の植物、書類を完備していない標本及び/又は出所が園芸施設である標本、病気又は害虫を除去するために高価な技術を必要とする病気にかかった植物の破壊は、特に、園芸施設に植物を保管することにより、他の保護活動により良く活用できる資金が使われる場合など、明らかに正当化できる措置である。そのような植物の破壊を公表すれば、没収につながった活動即ち違法採取、正しい輸入/輸出書類取得の不履行、不手際な梱包などを抑制するという効力を持つ(ただし、植物は原産国で証拠として必要になる)。場合によっては、植物を生きている状態で栽培することは非実用的であり、特に、原産国と原産地が十分記録され、植物標本の作成に対し、受け入れる植物標本施設又は博物館の協力が得られる場合など、植物標本としてのそれらの保存が望ましいことがある。これは没収が行われた国と原産国の両方に適用され、それらの国の施設は違法採取によって取得された植物を受け入れる権利を否定されている場合がある。野生の出所が正しく記録されている植物の破壊は、処分に関する他のすべての選択肢が否定された場合の最後の手段としてのみ行うべきである。

決定樹分析

「野生への返還」及び「栽培」選択肢に関する決定樹について、没収する締約国は原産国のCITES当局と協議したうえで(適宜)、最初に次のような質問をしなければならない。

質問1:植物を野生に戻すことは教育その他の手段を含め、その分類群の保護に対する重要な貢献になるか。

没収された標本の処分に関する決定でもっとも重要な考慮事項は、当該分類群の保護である。没収された植物が害虫及び病気を持たないという絶対的確信は決して得られないため、園芸施設に保管されていた標本を野生に戻すことは、その植物が戻される生態系中の同じ又は別の分類群の既存個体群に対して常に何らかの水準の危険を伴う。

没収された植物又はそれらの繁殖子孫を野生に戻すことが達成可能な措置であると思われる場合、それは既存の野生個体群の存続の見込みを改善しなければならない。少数の標本の短期的存続だけではなく、可能な限り多数の標本の存続を保証することが、保護という観点からもっとも有益である。保護上の価値という観点での再導入の利点が潜在的危険性を明らかに上回らなけれはならない。

ほとんどの場合、野生への返還による利点よりも、そのような措置の費用と危険性の方が上回るだろう。植物の野生への返還に保護上の価値がない場合、繁殖センターでの栽培の方が危険が少なく、保護上の利点も多い。

答え: はい: 「野生への返還」の選択肢を調べる。

     いいえ: 「栽培」の選択肢を調べる。

決定樹分析一栽培

原産国であれ他の場所であれ、没収された植物を栽培下に維持するという決定のための考慮事項は野生に戻すという決定よりも単純である。

質問2: 植物は植物の健康に関する総合的スクリーニングと検疫を受けたか。

栽培個体群に病気を持ち込む危険性があるため、栽培施設に移譲される植物は健康状態の証明書を必要とする。

これらの植物は病気を持たないかどうかを判断するため、繁殖センターに移譲される前に検疫にかけなければならない。

答え: はい:質問3へ進む。

     いいえ:検疫とスクリーニングを行い、質問3へ進む。

質問3:植物は植物の健康に関する総合的スクリーニングと検疫によって病気を持たないと判断されたか。又は発見された害虫及び病気の治療は可能か。

検疫中に植物が除去できない害虫を持つか、又はおそらく治療不可能と思われる病気を持つと判断された場合、他の植物への感染を防ぐため、それらを破壊しなければならない。植物がスクリーニング不可能な病気と接触したことが疑われる場合は、研究施設への寄付又は破壊を考慮しなければならない。

答え: はい:質問4に進む。

     いいえ:慢性かつ治療不可能な感染の場合、まず植物を研究施設又は保存のための植物標本施設/博物館に提供する。そのような施設に収容できないか、又は必要とされない場合は破壊する。

質問4:販売が違法又は変則的な取引を一層刺激すると懸念する根拠はあるか。

附属書Ⅰの分類群の商業的販売は、それらの種の取引を刺激するおそれがある。CITES附属書に掲げられていないが、深刻な絶滅のおそれがある分類群についても、同じ用心が必要である。 

没収された植物の販売又は寄付が法律上許可される場合でも、それは考慮が難しい選択肢である。販売の利点-収入と迅速な処分-は明らかだが、関与する標本のさらなる商業取引の結果として多数の問題が発生する可能性がある。同様に、非商業的取引の結果としてそのような問題が発生する状況もあること、また、商業繁殖業者への販売又は寄付が繁殖植物の入手可能性を引き上げ、それによって野生からの採取による脅威が軽減される可能性があることにも留意すべきである。

ほとんどの場合、脅かされている分類群の販売は行うべきではない。脅かされている種の販売又は取引が、一部の国で、又はCITESにより、法的に規定されていることがある。商業繁殖業者が繁殖のために標本を購入又は受け取り、それが取引の対象とされる野生個体群への圧力を減じることになるという場合もある。あらゆる状況において、没収を行う当局は次のことを確認すべきである。

a) 没収の原因となった違法又は変則的な取引に関与した者はその植物を取得できない。

b) 販売又は寄付は没収の目的を損なわない。

c) 販売又は寄付はその分類群の違法、変則的、又はそれ以外の望ましくない取引の増加を引き起こさない。

答え: はい:質問5aに進む。

     いいえ:質問5bに進む。

質問5a:公的運営であれ個人所有であれ植物園/非商業的繁殖センターの場所を確保できるか。

質問5b:公的運営であれ個人所有であれ植物園/非商業的繁殖センターの場所を確保できるか。又はこの分類群を繁殖しており、この植物に関心を抱いている商業的施設があるか。

販売、寄付又は貸与が一層の違法又は変則的取引を刺激するおそれがある場合、植物を非商業的繁殖施設に移譲すること、又は販売/寄付/貸与が一層の違法又は変則的取引を刺激しない場合、商業的繁殖施設への移譲は、没収された植物を処分するための全般的に安全かつ受け入れられる手段を提供する必要がある。複数の施設から選択しなければならない場合、どの施設が次のことを可能かがもっとも重要な考慮事項である。

a) その植物が繁殖計画に使われる機会を提供する。

b) それが携わる他の同様に貴重な保護活動に使用可能な資源を損なうことなく、もっとも一貫した世話を提供する。

移譲の条件については、没収を行う当局と受け入れ施設の間で合意に達する必要がある。そのような合意の条件には、次の項目を盛り込むものとする。

a) 受け入れられる基準に沿った生涯の世話、又はそれが不可能になった場合は、そのような世話を保証できる他の施設への移譲を保証するという明瞭な約束

b) 当該標本及び繁殖が行われる場合はその子孫の所有権の明瞭な特定(国内法によって決定される)。状況により、所有権は没収する当局、原産国、又は受け入れ施設のいずれかに与えられる。

c) その植物又はそれらから繁殖された植物が販売される条件の明瞭な特定。

大半の例では、植物が没収された国には限られた施設しかない。そのような場合は、他の園芸的方法による選択肢を調べるべきである。これには没収した国以外、理想的には原産国の繁殖センターへの移譲、又は、一層の違法取引を刺激しなけれは、商業的繁殖施設への収容が考えられる。ただし、生物多様性条約によって示唆される制約に留意しつつ、そのような繁殖計画は慎重に査定し、用心して扱わなければならない。これらの計画の監視は難しいことがあり、そのような計画は意図せずに又は意図的に、野生で採取された植物の取引を刺激するおそれがある。商業的繁殖施設への移譲又は繁殖のための貸与が保護に貢献する潜在能力は、その分類群の野生の個体群を一層危険な状態にするような取引を刺激するたとえ最小限の危険性とさえ慎重に比較検討しなければならない。

多くの国に、個々の分類群又は分類群のグループの交配及び繁殖にかなりの専門知識を持ち、活発に活動する専門家の協会又は個人のクラブがある。そのような協会は仲介業者を通じた販売を行わずに没収された植物の家を探す援助が可能である。この場合、没収された植物を受け取る個人は、当該分類群の交配における専門知識を実証し、当該クラブ又は協会から十分な情報と助言を得なければならない。専門家の協会又は個人会員への移譲は、没収する当局との間で合意された条件に従って行わねばならない。これらの協会又はメンバーへの収容は、没収された植物の販売又は寄付が取引を刺激する場合もしない場合も選択肢になる。

答え: はい: 合意内容を実行し、販売/寄付/貸与を行う。

     いいえ: 質問6に進む。

質問6:施設が博物館標本としての研究のために植物に関心を抱いているか。

答え: はい: 合意内容を実行し、移譲を行う。

     いいえ: 破壊する。

決定樹分析一野生への返還

質問2:植物は植物の健康に関する総合的スクリーニングと検疫を受けたか。

野生個体群に病気を持ち込む危険性があるため、再導入される植物は健康状態の証明書を必要とする。これらの植物は病気を持たないかどうかを判断するため、返還を考慮する前に検疫にかけなければならない。

答え: はい: 質問3へ進む。

     いいえ: 検疫とスクリーニングを行い、質問3へ進む。

質問3:植物は植物の健康に関する総合的スクリーニングと検疫によって病気を持たないと判断されたか。又は発見された害虫及び病気の治療は可能か。

検疫中に植物が除去できない害虫を持つか、又はおそらく治療不可能と思われる病気を持つと判断された場合、何らかの施設が生きているか又は保存された状態のこの植物に関心を抱かない限り、病気の蔓延を防ぐため、それらを破壊しなけれはならない。植物がスクリーニング不可能な病気と接触したことが疑われる場合は、検疫の延長、研究施設への寄付又は破壊を考慮しなけれはならない。

答え: はい: 質問4に進む。

     いいえ:慢性かつ治療不可能な感染の場合、まず植物を研究施設又は保存のための植物標本

施設/博物館に提供する。そのような施設に収容できないか、又は必要とされない場合は破壊する。

質問4:原産国及び採取場所を確認できるか。

没収された標本を再導入するか、又は既存個体群の補充に使う場合は、それらが野生から除去された地理上の位置を決定しなければならない。ほとんどの場合、植物はそれらが取得された個体群又はこの個体群との遺伝子の交換が知られている個体群にのみ返還すべきである。

植物の出所が正確にわからない場合、補強のための使用により、独立した品種又は亜種の偶発的交雑が起きることがある。野生で同所に生息し、決して交雑しない近縁植物が、栽培下では交雑する例が知られており、この問題は自然に同所に生息する分類群又は植物界で近縁の分類群に限られない。

答え: はい: 質問5に進む。

     いいえ: 「栽培」選択肢を追求する。

質問5:植物は迅速に原産地(特定の場所)に戻ることができ、その分類群の保護における利点はそのような措置のもたらす危険性を上回るか。

標本の再導入及び個体群の補強は、特定の条件のもとでIUCN/SSC再導入専門家グループの1995年のガイドラインに従う場合にのみ選択肢になる。そのような事業のための適当な生息地が、標本が除去された特定の場所にいまだに存在する必要がある。

答え: はい: 本国に送還し、IUCNガイドラインに従って原産地(特定の場所)で補強する。

     いいえ: 質問6に進む。

質問6:当該分類群に関し、その分類群の保護及び最終的には没収された標本及び/又はそれらの子孫を野生に戻すことを目的とする一般に認識された計画が存在するか。(関係するIUCN/SSC専門家グループ、BGCI及び/又はIABGに問い合わせること)

活発な繁殖及び/又は再導入計画が存在し、さらなる繁殖用植物/親植物が必要な種の場合は、適当な科学当局との協議の後、没収された植物はその計画に移譲すべきである。当該分類群に関してそのような計画があるが、没収された実際の亜種又は品種はその計画の一部ではない場合、他の処分方法を考慮しなければならない。偶発的な交雑によって再導入計画を損なわないよう、特に遺伝子スクリーニングに注意を払うべきである。

答え: はい: 合意内容を実行し、既存の計画に移譲する。

     いいえ: 質問7に進む。

質問7:IUCNガイドラインに従い新たな再導入計画を確立する必要があり、それは実施可能か。

植物を既存の再導入計画に移譲できない場合、適当なガイドラインに従った野生への返還は、次のような状況でのみ可能になる。

a) そのような事業に適した生息地が存在する。

b) (再)導入に必要な多年にわたる計画を支えるための十分な資金を使えるか又は使えるようにすることができる。

c) 再導入活動が潜在的に実行可能な程度の十分な数の植物を使用できるか、又は既存個体群の補強のみが考慮される。

多くのケースで、これらの要件全部ではないにしても少なくともひとつは満たせない。そのような場合は、これらの種の従来の分布域外への保護導入又は植物の処分のための他の選択肢を考慮しなければならない。

特定の分類群が何らかの頻度で没収される場合、再導入、補強又は導入計画を立案するかどうかを考慮すべきであるという点を強調する必要がある。そのような計画の立案中、植物は没収を行う当局によって無期限に保管されるべきではなく、新計画を立案する組織と協議した後、保管施設に移譲するものとする。

答え: はい: 合意内容を実行し、保管施設又は新計画に移譲する。

     いいえ: 「栽培」選択肢を追求する。

<栽培選択肢に関する決定樹:省略>

<野生への返還に関する決定樹:省略>

(訳注:省略)

付記3 押収及び/又は没収された生きている標本に関する行動計画策定のためのガイドライン

各締約国は生きている標本が押収された場合に遅滞なく実施できる行動計画を策定すべきである。この行動計画は付記1の「没収された生きている動物の処分に関するCITESガイドライン」及び付記2の「没収された生きている植物の処分に関するCITESガイドライン」に従って策定すべきである。計画には次の内容が必要である。

1. 世話、検疫、輸送その他の押収及び没収された生きている標本にかかる費用を提供するための資金を調達する手段を特定する。資金調達は罰金の徴収、輸入者からの払い戻し、輸入者と輸出者の認可と保証契約、輸入関税又は許可料金の義務づけ、個人又は政府からの寄付、政府の割当金の獲得、又は適宜、没収された生きている標本の販売により確保される。

2. 締約国の国内法及び政策に従いガイドラインを実施するための手続きを確立する。

3. 生きている標本の押収及び処分に関して決定を下す権限を持つ政府機関及び担当者を特定し、この過程におけるそれらの役割と管轄権を明らかにする。そのような機関及び担当者には税関、農業検査局、法履行機関、家畜関係機関、公衆衛生局、管理並びに科学当局が含まれる。

4. 生きている標本が押収された場合、CITES Directoryに掲げられたどの原産国の当局と連絡を取るべきかを特定する。この当局にはCITES Directoryにおいて注をつけるものとする。

5. 標本のその時点及び長期両方の福祉を保証するため、生きている標本の押収及び処分に関与する担当者の訓練について規定する。

6. 押収、没収及び処分過程の種の同定、世話及び/又は他の技術的側面を援助できる専門家又は施設の一覧表を掲載する。

7. 押収直後に生きている標本の世話を提供する施設を特定及び/又は設立する。

8. 没収過程が完了するまで、特定の分類群の押収された生きている標本に十分な世話を与えることに合意した一時的保管施設を特定する。

9. 獣医学又は植物衛生学的世話を含め、十分な世話を提供することに合意し、特定の分類群の没収された生きている標本を進んで受け入れる意志を持つ国の中の承認された施設と計画を特定する。締約国はそのような施設と計画の一覧表を作成し、それを事務局に提出し、事務局は要望に応じて締約国にそれを提供する。

10.締約国が押収された生きている標本の処分に関する選択肢の評価を押収直後に始めるよう保証する。■

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