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ワシントン条約決議

 
決議9.20 * 決議11.16(CoP15で改正)1に準じて提出されたウミガメランチング提案の評価のための指針

*第10回締約国会議で改正、第14回および15回締約国会議の後に事務局により訂正され、
さらに決定14.19および第61回常設委員会で採択された決定に従い事務局により改正。

 一般に、ウミガメの利用は持続可能な方法で実施されておらず、ウミガメ個体群の衰退につながっていることを認識し、

 また、生息地の消失、汚染、偶発的な捕獲などの他の要因も、ウミガメ個体群に深刻な影響を及ぼしていることを認識し、

 第11回締約国会議(ギギリ、2000)で採択された決議11.16(CoP15で改正)1で、ランチングを目的としてある種を附属書Iから附属書IIに移すことを提案するには、その事業は「第一にその土地の個体群の保護にとって有益でなければならない」と勧告されたことを想起し、

 ウミガメのユニークな生物学的性質により、持続可能な利用は困難であり、利用に特別な制約が課され、このことから厳しい規制の適用が必要になることに留意し、

 一部の国でのウミガメ製品の需要が、国内的ならびに国際的両面で違法取引を刺激することを認識し、

 分布国の協力がウミガメ個体群の保護を大幅に強化することに留意し、

 営巣のために特定の海岸に戻るというウミガメの行動により、分布国はウミガメ営巣地と、繁殖期の間は営巣する雌を守るという特別な責任を負うことを理解し、

 持続可能な利用がウミガメとその生息地の保護にとって潜在的な利点を持つことを認識し、

条約締約国会議は次のように勧告する。

a)ウミガメ養殖場の製品の国際取引に対する許可を求める締約国は、条約と決議11.16(CoP15で改正)2、決議5.16、決議6.22の全要件を満たす。

b)決議11.16(CoP15で改正)1に従ってウミガメ個体群を附属書Iから附属書IIに移すことを求める締約国は、この決議の付則に盛り込まれたガイドラインに従い、情報を提供する。そして

c)この決議並びに決議11.16(CoP15で改正)1に従ってウミガメ個体群を附属書IIに移す締約国は、事務局への定期的かつ十分な報告のための手順が存在し、実施されることを保証する。この要件を満たすこと、および個体群に対する保護上の利点あるいは決議11.16(CoP15で改正)1の他の要件への準拠の実証ができない場合は、最後の「勧告する」の下の決議のd)3項の適用が行われることがある。

付記 11.161に従って提出されたウミガメのランチング案評価ガイドライン

1.資源管理

A.生物学的情報

 分布域全域を通じて影響を受ける各個体群の生物学的データ、管理、地理的範囲に関する情報を、提案の中で提供する必要がある。地理的範囲は確実な科学的手法を用いて記述すべきである。分布域はその個体群が生息するすべての分布国ならびに水域と定義される。

 ランチング案の対象となるウミガメの個体群の以下のような特性を詳しく示す必要がある。

a)個体群の分布。その個体群の現在の(可能ならば過去についても)営巣地、採食場所、周期移動域を記述する。卵および/または孵化幼生を採取する営巣地については、詳細に記述すべきである。

b)個体群の状態と傾向。特に個体群の年齢/サイズ構造に注意し、一生のさまざまな段階に関する豊富さの指標を使い、個体群とその傾向を記述する。

c)繁殖。年間繁殖率または年間生産量の規模(たとえば卵および/または孵化幼生の数)の推定値または計算値を提示する。
d)個体群の死亡率。個体群の孵化成功率推定値と人間によって引き起こされた死亡率推定値を提示する。

B.国内管理

 ランチング案承認のための前提条件は、ウミガメの国内管理計画の有効な実施である。その計画には以下のことを盛り込むべきである。

a)モニタリング。個体数の傾向と死亡率をモニターする年次計画の記述。

b)生息地の保護。すべての重要な営巣海岸、採食場所、その他の重要な生息地は、開発、都市化、汚染などの破壊から守られるべきである。

c)捕獲の規制。養殖場のための捕獲は、通常、卵および/または孵化幼生に制限すべきである。養殖場に移すと提案される卵および/または孵化幼生の年間数(そしてパーセント)を指定しなければならない。提案された捕獲率は、養殖場のために収穫される個体群の自然生産数の割合としても表示すべきである。

d)個体群の保護。規制を受けない捕獲、漁業活動中の偶発的捕獲、生息地の汚染など、人間が誘発するウミガメの死亡を特定し、そのような死亡を防止するための機構を設置すべきである。

e)捕獲を停止するための規則。状態、死亡率、または生息地の傾向と変化について、その個体群の前もって定められたしきい値を提案し、そこを越えると自動的に収穫が一時停止され、さらなる保護対策が開始されるようにすべきである。

C.地域管理

  ウミガメの周期移動行動により、いかなる分布国の司法管轄範囲内に生息する個体群部分も、隔離されていると見なすことはできない。個体群の管理には、個体群の大半を共有する分布国の関与が必要である。

  ランチング案を提出する締約国は、個体群の保護強化を意図した地域管理プロトコルの策定と有効な実施を率先して行う。

a)個体群の大半を共有する分布国間の共同地域管理を発展させるため、その提案者が実行する活動を記述する必要がある。地域管理には以下の項目のための協力機構が必要である。

i)分布域全体での個体群の保護状態の査定と重要な補強区域(たとえば繁殖と営巣のための場所)の特定
ii)ランチング事業の影響の査定も含め、年間死亡率の原因の査定をはじめとする個体数傾向の定期的モニタリング
iii)重要な営巣場所その他の不可欠な生息地(たとえば採餌場所)の効果的な保護
iv)必要に応じ、ウミガメ標本の収穫と国内販売の規制、そして
v)野生個体群に由来する製品の違法取引の刺激を防止するために十分な効果的規制

b)野生のウミガメの保護強化を意図した地域管理プロトコルでは、分布国による既存の保護法と取引規制も文書化すると同時にフォーラムを提供し、それを通じてより効果的あるいは補足的な取引規制、施行活動、その他の保護対策の策定ができるようにすべきである。

2.取引規制

 提案者は、認可された養殖場で生産された製品の取引が、その個体群、他の個体群、または他のウミガメ種の存続に悪影響を与えるような方法で他の供給源からの取引増加を刺激したり、あるいはそのような取引の原因となることがないよう保証するためのあらゆる妥当な手段を講じなければならない。したがって、提案する締約国は、国際取引が認可される前に、自国およびランチング事業の製品の送り先である国の両方が、モニタリングと報告のための十分な法的枠組みと管理手段、および十分な地方および全国的施行能力を持つよう保証すべきである。特に、各提案締約国は、以下の項目を実行しなければならない。

a)提案の対象となる個体群に由来するウミガメ製品の輸出が、提案された養殖生産量に見合う指定された量(割当量を設定することも考えられる)で、ランチング事業に由来するものに制限されることに合意する。輸入国はウミガメおよびその部分と派生物の輸入、再輸出、所有、売却、購入、輸送を規制する国内法ならびにそのような標本の既存の在庫を管理する手段を記した文書を提供する。

b)野生のウミガメの捕獲およびウミガメ、その部分と派生物の所有、売却、購入、輸送、輸入、輸出を規制する国内法と施行機構(何らかの領土および海外の行政区内でのものを含む)を文書化する。

c)領土内の司法管轄領域内に保管されているウミガメの部分および派生物の既存の在庫の登録を行い、その品目が認可された養殖場に由来する類似の品目から容易に識別できるよう保証するマーキングおよび管理システムの設置を促す。

d)認可された養殖場に由来するすべての部分と派生物に関するマーキングとトラッキングの手順を記述する。それにより、製品とパッケージのマーキング方法、包装タイプ、輸送方法、出荷経路、製品に添付する書類、製品の安全な保管、輸出までの在庫管理、年間の製品輸出量上限(割当量)など、養殖製品の確実な識別が可能になる。

3.ランチング事業

 決議11.161の最初の「勧告する」の下の勧告c)ii)に従うため、提案者は以下の情報を提供すべきである。

a)財務計画。所有者の名称と、市場の需要と生産目標並びに目的を考慮に入れた事業並びに財務計画。

b)工場の物理的明細。技術ならびに専門的標準に従い、次の項目について記述する。

i)現場。地理的位置、レイアウト、サイズ、技術仕様を含む。
ii)在庫維持、餌の保管、検疫、屠殺と処理、冷蔵と冷凍のための施設。
iii)海水供給源。循環、フィルター、廃棄物処分、品質管理システムを含む。そして
iv)要員。技術および管理担当者の人数と資格および補助要員の人数を含む。

c)以下の項目を考慮に入れた運営手順

i)ストックの収集。収集現場の位置、標本の収集と採取に使われる手法、標本の年齢とサイズの等級(たとえば卵、孵化幼生)、収集の季節、毎年収集される標本の数、自然年間生産数のうち収穫数が占める割合、取扱いとランチング事業までの輸送方法、収集と輸送の間の負傷の度合いと死亡率などを含む。

ii)ストック率。海水1000リットル中、および海水面1平方メートル中のカメの頭数または重量を含む。
iii)生産スケジュール。年齢とサイズの等級ごとの生産内容、成長率、養殖ストックの識別に使われる手法、収穫を除く間引きの手順、非収穫死亡例の報告、非収穫死亡の場合の死体の処分方法、毎年収穫される標本の年齢およびサイズの等級ごとの数を含む。
iv)給餌。餌の内容、全般的な栄養成分、添加物と混入物の評価、給餌方法(量、頻度、配布方法)を含む。
v)健康維持方法。モニタリング方法、獣医学的ケアおよび治療手順を含む。そして
vi)屠殺手順。標本の選抜、標本の収集と処理場所への運搬方法、人道的な屠殺技法、処理技法、廃棄物処分を含む。

d)記録。ランチング事業が維持する検査とモニタリングの記録をつけるための手順。

e)利益。現地の人々がその事業からどのような利益を受けるか。

4.個体群への利点を記述する要約

 提案者は合法的取引の更新の悪影響を防ぐ法律上ならびに施行上の機構を要約し、地域管理プロトコルを含め、養殖場のために捕獲される個体群に関して実行される管理活動の結果、あるいは結果として期待される利益を要約する。

5.報告

 この決議に従い、国内のウミガメ個体群の附属書Iから附属書IIへの移動を達成する提案者は、その年次報告書に、以下の項目に関する最新情報を盛り込むべきである。それは、個体群の状態と傾向、適切な営巣生息地を提供する海岸の面積の変化、施行活動の変化、ウミガメ資源の保全と管理のための協力合意内容の改正である。また、効果的な地域管理プロトコルの策定と履行の性質と進捗状況も、報告書で詳しく説明する。                              ■

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1 第11回、第14回および第15回締約国会議の後に事務局により訂正:以前は決議10.18と言及され、後に決議11.16、そして決議11.16(CoP14で改正)と訂正された。
2 第11回、第14回および第15回締約国会議の後に事務局により訂正:以前は決議5.16(改正)と言及され、後に決議11.16、そして決議11.16(CoP14で改正)と訂正された。
3 第14回締約国会議の後に事務局により訂正:以前はc)項と言及されていた。

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