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現在、アフリカゾウ Loxodonta africana が深刻な密猟の危機にさらされています。その最大の原因となっているのが、象牙を目的とした密猟と違法取引(密輸)です。

アフリカゾウの象牙は1989年より商業目的の国際取引が原則禁止されていますが、象牙に対するアジア諸国での過剰な需要はなくならず、密猟も続いています。アフリカゾウの個体数は、2006年以降の10年間で11万頭あまり減少したとみられ、近年は、密猟の犠牲になるアフリカゾウの数が、年間2万頭から3万頭に上るともいわれています。

こうした問題が横行している原因は、ひとつではありません。たとえば、貧困に苦しむ生息国での密猟の防止活動が十分に行なえていないこと、象牙の密輸にかかわる国々の取り締まりの甘さや、政治的腐敗、市場で違法象牙と合法な象牙の区別ができていないことなど、国や地域によってさまざまな原因が重なり、問題を大きくしています。

一方で、ゾウの数がほとんど減っておらず、自然死した個体の象牙を、自国の産品として合法的に輸出することを望む国や、自国内での象牙の取引を合法的に認めている国もあります。

アフリカゾウを保全するためには、国や地域の課題に応じた対策が必要とされているということです。

今、そうした対策の一つとして、各国で行なわれている象牙の国内市場閉鎖を求める動きがあります。長年、ゾウの密猟と象牙の違法取引に強く反対してきたWWFジャパンとトラフィックも、こうした野生生物犯罪につながっている国々での象牙の国内取引の禁止を支持しています。

日本の象牙市場に関しては、現在世界で問題となっている大規模な密猟や密輸に直接的な影響を与えているといった傾向は示されていないため、現状で直ちに閉鎖する必要はないと考えていますが、現行の法制度にはまだ問題があり、密輸品が紛れ込む可能性がゼロではありません。

したがって、日本政府と市場関係者が違法象牙ゼロ実現に向け、強い意志をもって対応しない場合は、今後国内取引を禁止する、といった厳しい措置を選択することも必要と考えます。

そして、日本が違法象牙ゼロを目指し、違法取引と闘い課題に悩む国々に良い事例を示すことが、国際社会とアフリカゾウ保全への貢献と責任として求められていると考えます。

象牙取引に関するWWFジャパン/トラフィックの見解

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■アフリカゾウ・象牙に関する報告書■


The Transition:Bangkok's Ivory Market:An 18-month survey of Bangkok's ivory market
発行:TRAFFIC, Malaysia【2016年9月】
著者:Kanitha Krishnasamy, Tom Milliken, Chution Savini


Malaysia's Invisible Ivory Channel:An assessment of ivory seizures involving Malaysia from January 2003-May 2014
発行:TRAFFIC, Malaysia【2016年9月】
著者:Kanitha krishnasamy


An Act to Save African Elephants:A Ban Commercial Ivory Trade in China:A feasibility study briefing
発行:WWF China and TRAFFIC,China【2016年9月】
著者:Xu, Y., Xiao, Y., Guan, J., Lau, W.


A Rapid Survey of UK Ivory Markets
発行:TRAFFIC, UK【2016年8月】
著者:Lau, W., Crook, V., Guan, J., Xu, L.


Workshop Proceedings:Sub-regional Action Planning to Strenghthen Regional Collaboration:Support of the implementation of National Ivory Action Plans(NIAPs) in Central Africa
発行:TRAFFIC, Central Africa【2016年5月】
著者:Sone NIKOKE Christopher, Paulinus NGEH Chiambeng, Nick AHLERS


Wildlife Protection and Trafficking Assessment in Kenya:Drivers and Treats of Transnational Wildlife Crime in Kenya and its Role as Transit Point for Trafficked species in East Africa
発行:TRAFFIC International【2016年5月】
著者:Sam Weru


Setting Suns:The Historical Decline of Ivory and Rhino Horn Market in Japan(日本の象牙と犀角の市場縮小の歴史)
発行:トラフィック【2016年3月】
著者:北出知美、藤稿亜矢子


日本におけるインターネットでの象牙取引:現状と対策
発行:トラフィック【2015年1月】
著者:松本知美


Illegal Trade Ivory and Rhino Horn:An Assessment to Improve Law Enforcement Under the Wildlife Trade Project
発行:TRAFFIC International【2014年9月】
著者:Tom Milliken


Polishing the Ivory:Survey of Thailand's Ivory Market
発行:TRAFFIC International【2014年7月】
著者:Naomi Doak


消えゆくゾウたち-アフリカゾウの危機(Elephant in the Dust:The African Elephant Crisis)
発行:UNEP【2013年】日本語版:2015年3月発行
著者:UNEP, CITES, IUCN, TRAFFIC
【日本語訳】トラフィック

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